特定保険指導の内容は?基準は?内臓脂肪と皮下脂肪の違いは?

特定保険指導の内容とは?

特定保健指導(メタボ指導)とは、生活習慣病を発症する危険性が高いものの、生活習慣を改善すれば、そうした病気を予防できそうな人に対して、生活習慣の見直しを促し、アドバイスなどの支援を行うものなんですね。

メタボ指導は、メタボ健診(特定健康診査)による検査値などが、メタボ健診基準値にどれだけあてはまるかによって、積極的支援と動機づけ支援の2つに分けられるんです。

積極的支援とは、メタポリックシンドロームであると判断された人に行われるものです。

もう一方の動機づけ支援とは、メタボ予備軍の人に対して、積極的支援やメタポリックシンドロームにまで進むことなく健康体に戻ることを目的として行われるものなんです。

積極的支援では、医師や保健師、管理栄養士の面接を受け、生活習慣の改善を行うように指導されます。

面接では、食生活や飲酒、喫煙や運動、休養のとり方から、どんな薬を飲んでいるかなどを質問されます。

そして、現状のままでは生活習慣病になることを指摘され、生活習慣を改めるようにアドバイスされます。

はじめの面接は、個別面談のほかに、1回8人以下のグループでの保健指導で行われ、その際に、実現性のある行動目標及び行動計画の作成を求められます。

その後3~6ヶ月にわたって、面談やグループ支援のほか、電話やインターネットのメールなどによる指導が何回か行われ、6ヶ月後に「健康状態や生活習慣が改善されたか」を評価され、電話やファックス、手紙、メールなどで通知されるんです。

毎年受けるメタボ健診の検査値が正常になって健康状態がよくなったと判断されるまで、毎年、積極的支援の指導を受けなければならないんです。

動機づけ支援は原則1回で、個別面談による保健指導、あるいは1回8人以下のグループでの保健指導などの形で行われます。

積極的支援ほど厳しい指導はされませんが、生活習慣病の基礎知識やストレス、食事、運動といったテーマでの指導を受けることになります。

生活習慣の改善と、すぐに実行できる行動目標を立てることが求められるんですね。

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特定保険指導の基準とは?

特定保険指導(メタボ指導)を受けるかどうかは、メタボ健診(特定健康診査)で得られた検査値などが、メタボ健診基準値にどれだけあてはまるかによって決まるんです。

また、あてはまる検査値の個数(メタポリックシンドロームの度合い)に応じて、積極的支援と動機づけ支援にふり分けられます。

腹囲の測定値

・男性で85cm以上

・女性で90cm以上

上記の基準値にあてはまる人は、メタポ指導を受けなければなりません。

BMI価が25以上

腹囲がたとえ基準値以下であっても、男女を問わずBMI価が25以上の人は、メタポ指導を受けなければならない場合があります。

BMI=[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]

計算式は以下のとおりで、身長はcmではなくmで計算します。

メタポ指導を受けなければならない場合とは、検査値が次のA、B、Cのいずれかにあてはまる場合です(ただし、すでに糖尿病、高血圧症、脂質異常症で薬物療法を行っている人は除きます)。

A(血糖)

空腹時血糖値が100㎎/dl以上、またはHbA1cが5.2%以上

どちらか一方の検査値が、この基準値にあてはまる場合

B(脂質)

中性脂肪値が150㎎/dl以上、またはHDLコレステロール値が40㎎/dl未満

どちらか一方の検査値が、この基準値にあてはまる場合

C(血圧)

最大(収縮期)血圧が130mmHg以上、

最小(拡張期)血圧が85mmHg以上の場合

どちらか一方の検査値が、この基準値にあてはまる場合

積極的支援を受ける人の基準

メタポ指導のうち積極的支援を受けなければならないのは、以下の①~④のどれかにあてはまる人です。

①腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、A~Cのうち2つ以上にあてはまる人

②腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、A~Cのうち1つにあてはまり、タバコを吸う習慣がある人

③腹囲が男性85cm未満、女性90cm未満であっても、BMI値が25以上の人で、A~Cすべてにあてはまる人

④腹囲が男性85cm未満、女性90cm未満であっても、BMI値が25以上の人で、A~Cのうち2つにあてはまり、タバコを吸う習慣がある人

ただし、65~74才の人は、この積極的支援の条件にあてはまったとしても、動機づけ支援に回されることになっています。

動機づけ支援を受ける人の基準

メタポ指導のうち動機づけ支援を受けなければならないのは、以下の①~④のどれかにあてはまる人です。

①タバコを吸う習慣がなく、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、A~Cのうち1つにあてはまる人

②タバコを吸う習慣がなく、腹囲が男性85cm未満、女性90cm未満であっても、BMI値が25以上で、A~Cのうち2つにあてはまる人

③腹囲が男性85cm未満、女性90cm未満であっても、BMI値が25以上で、A~Cのうち1つにあてはまる人

④積極的支援を受けなければならない条件にあてはまるが、65~74才の人

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内臓脂肪と皮下脂肪の違いは?

かつては肥満といえば、皮膚の内側の真皮の下に脂肪がたまっている状態と考えられていたんです。

これが皮下脂肪型肥満です。

その後、CTスキャン(コンピュータ断層撮影装置)によって、もうひとつ別のタイプの肥満が確認されたんです。

それが内臓脂肪型肥満なんですね。

内臓脂肪型肥満とは、腸をとり囲む腸間膜(腸がお腹の中で絡み合わないように包んで支えている薄い膜)に脂肪がつきすぎた状態のことなんです。

これまでの研究で、皮下脂肪型肥満にくらべて、内臓脂肪型肥満のほうが生活習慣病と密接な関係にあることがわかってきたんです。

脂肪は、グリセロール(グリセリン)と3つの脂肪酸が結合した物質で、中性脂肪(トリグリセライド)とも呼ばれます。

脂肪は体内で貯蔵用エネルギー源として重要な役割を担っていますが、その役割を果たすときや体内を移動するときは、脂肪の形をとります。

そして、体にエネルギーが不足したときは、脂肪から脂肪酸とグリセロールに分解され血液中に放出されて利用されます。

このときの脂肪酸は、遊離脂肪酸と呼びます。

遊離脂肪酸は、体がすぐに利用できる効率のよいエネルギー源なんです。

内臓脂肪は、余ったエネルギーを一時的にためておく脂肪組織なんです。

このため、皮下脂肪より新陳代謝が旺盛で、常に脂肪の合成と遊離脂肪酸への分解を繰り返しているんです。

腸間膜などに脂肪がたまって内臓脂肪型肥満になると、分厚くなった脂肪組織から遊離脂肪酸が多く放出されるようになるんです。

腸間膜の血液は、門脈という血管を経由してすベて肝臓に流れ込む仕組みになっているため、この遊離脂肪酸は門脈を経てすべて肝臓に流れ込みます。

肝臓に流れ込んだ遊離脂肪酸の一部は筋肉に運ばれ、エネルギー源として利用されるのですが、内臓脂肪が多いほど肝臓に流入する遊離脂肪酸の畳も多く、利用されない遊離脂肪酸も大量になるんですね。

この余った遊離脂肪酸を原料に、肝臓は脂肪を大量に合成して血液中に放出します。

当然、血中の脂質分は増加するんです。

そうなれば、脂質異常症を引き起こすことにつながってしまうんですね。

ちなみに、肝臓で合成される脂肪が多くなりすぎると、血液中に放出するための処理が追いつかず、肝臓の細胞の中に脂肪がどんどんたまっていくんです。

こうして、肝臓内に脂肪がたまりすぎた状態が脂肪肝なんです。

内臓脂肪型肥満は糖尿病にも関係してくるんです。

内臓脂肪と糖尿病の関係については、いろいろな考え方ができるようです。

まず、内臓脂肪とインスリンのかかわりです。

インスリンは血糖値を下げる働きをするホルモンで、すい臓から分泌されます。

内臓脂肪がたまるとこのインスリンの働きが十分でなくなり、この状態がつづくと、次第にすい臓が疲れてインスリンの分泌も低下してくるんです。

こうなると、当然、血糖値も上昇します。

インスリンの働きが十分でなくなる一因として考えられているのが、脂肪組織から分泌される生理活性物質なんです。

この生理活性物質のひとつにTNF-αという腫瘍壊死因子があります。

これは簡単にいえば、腫瘍をやっつけてくれる物質なんです。

ガンの末期などにも、体の組織からたくさん分泌され、ガン細胞を攻撃することでも知られています。

ただ、このTNF-αが分泌されると、筋肉や脂肪組織でのインスリンの働きが悪くなるんです。

そして、このTNF-αは、肥満すると脂肪組織でたくさん作られることがわかっているんです。

ということは、肥満するとTNF-αが分泌されてインスリンの働きが悪くなると考えられるんです。

さらに、インスリンが効きにくくなると、血圧が高くなるともいわれているんです。

その意味では、内臓脂肪型肥満が高血圧の原因とも考えられるんですね。

ところで、先ほどの脂肪組織から分泌される生理活性物質はTNF-αだけではないんです。

生理活性物質の一つに、PAI-1(パイワン)というものがあるんです。

よく肥満の人は血がかたまりやすいといわれますが、このPAI-1という物質には、血栓(血のかたまり)を作りやすくする働きがあるんですね。

血栓ができやすければ、動脈硬化も起こりやすくなるんです。

一方、アディポネクチンという生理活性物質があります。

これは脂肪組織でつくられて血中を流れており、動脈硬化を防いだりインスリンの働きをよくするといった善玉的な性質をもっています。

ところが、肥満、特に内臓脂肪型肥満になると分泌が悪くなり、血中濃度が下がってしまうんです。

このように、内臓脂肪型肥満は、さまざまな経路を通して生活習慣病と密接に関係しているんですね。

いろいろお話ししましたが、参考になれば幸いです。

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