肝臓病の10%は健康診断でわかる・・・

肝臓病の10%は健康診断でわかる・・・

再生能力にすぐれている肝臓は、病気になって肝細胞が少々壊れてもなかなかギブアップしません。

そのために肝臓病に気づかず、自覚症状があらわれて病院に駆けつけたときには、肝臓病が進行しているケースがよくあります。

このようなことを避けるためには、定期的に健康診断を受け、肝臓の機能の異常を早期に発見することが必要不可欠です。

わが国では、集団検診制度が充実しており、会社員の人は、職場で定期健診が行われます。

定期健診の制度がない会社にお勤めの人、会社勤めをしていない人も、特定健診(40歳以上75歳未満の健康保険に加入している人に対して行われる)、健康増進法による健診、長寿(後期高齢者)健診、人間ドックを利用する方法もあります。

年に一度は、肝臓の状態をチェックすることが大切です。

健康診断の検査項目にはGOT、GPT、γ-GTPなど、肝臓の機能の異常を発見する検査が必ずあります。

これらの検査で肝臓の機能障害が疑われる結果が出ると、さらに検査するために医療機関から精密検査の通知が送られてきます。

精密検査が必要という通知を受けとっても、忙しさにかまけて検査を受けない人もいるようですが、これは絶対に避けるようにします。

あらゆる病気の治療は、早期発見、早期治療に尽きるからです。

血液検査で肝臓の異常が見つかる人は、受診者の約10%に上ります。

そのうち、アルコール性肝障害が約60%、脂肪肝が約30%、慢性肝炎が約10%となっています。

検査で異常が見つかったすべての人が、肝臓病というわけではありません。

たとえ肝臓病が疑われる検査結果が出ても、原因となっている危険因子を早急にとり除けば、肝臓の健康はとり戻せる可能性があります。

慢性肝炎と言われても、治療を早く始めるほど、改善する確率は高まります。

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血液検査でわかること・・・

・GOT(AST)、GPT(ALT)

GOTはグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ、GPTはグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼといい、最も基本的な検査です。

ともに肝細胞の中にある酵素で、アミノ酸の代謝に重要な働きをしています。

肝臓に障害が起こると、血液中に流れ出して量がふえます。

GOTとGPTの比率(GOT/GPT)は肝障害の種類や進行度によって変わるので、病気のぐあいをはかるものさしになります。

たとえば、慢性肝炎や肥満に伴う脂肪肝ではGOT/GPTは1以下になりますが、アルコール性脂肪肝や肝硬変では1以上になり、肝がんになると2~3となるなど、肝障害の進行に伴ってGOT値が上昇していきます。

・LDH

乳酸脱水素酵素。肝臓で糖質がエネルギーに代謝されるときに働く酵素で、肝臓、腎臓、心筋、骨格筋、がん細胞に多く含まれています。

肝細胞に障害が起きたり肝細胞が破壊されたりすると、血液中にLDHが増加します。

ほかの検査とあわせて診断されます。

・γ-GTP

ガンマグルタミルトランスペプチダーゼといい、肝臓、腎臓、牌臓などの細胞組織に含まれている酵素で、肝臓に障害が起こると血液中に流れ出ます。

慢性肝炎、肝硬変、肝がんなどになると検査値が上昇します。

特にアルコールによって肝細胞での生成が促進されると増加します。

日ごろアルコールを飲む人の約50%、アルコール性肝障害がある人のほぼすべてで上昇が見られます。

・ALP

アルカリホスファターゼといい、腸粘膜、骨、肝臓、腎臓などでつくられる酵素で、リン酸化合物を分解します。

胆石や胆道がんなどで胆道がふさがり、胆汁の流れが悪くなると、胆汁中のALPが逆流して血液に流れ込むと同時に肝細胞内でのALPの生成も盛んになるため、数値はますます上昇していきます。

・LAP

ロイシンアミノペプチダーゼといい、タンパク質分解酵素の一種で、肝臓や腎臓、腸に多くあります。

肝炎、肝硬変、肝がんなどが起きて胆道が詰まり、胆汁がうっ滞して黄疸を起こすと、血液中にLAPが流れ込むので、LAP値が上昇します。

特に閉塞性黄疸を起こす病気や、急性肝炎にかかると、正常値の2~5倍に増加します。

・血清タンパク分画

アルブミンと4種類のグロブリンの比率(%)を血清タンパク分画と呼びます。

血清に含まれるおもなタンパク質、アルブミンとグロブリンの成分バランスを調べると、肝臓の機能を診断する手がかりになります。

通常は、アルブミンが約67%、グロブリンが約33%で、アルブミンとグロブリンの比率(A/G比)は1.1~2.0です。

しかし、肝臓に障害が起こると、アルブミンが減少してA/G比が下がります。

肝硬変になるとアルブミンは減少し、γ-グロブリンは増加します。

・コリンエステラーゼ

ChEといい、肝臓で合成され血液中に放出される、神経伝達物質アセチルコリンを分解する酵素です。

慢性肝障害の重症度や経過を把握できます。

肝機能障害や低栄養では、血清コリンエステラーゼの数値が低下します。

特に非代償性肝硬変や劇症肝炎で著しく低下し、脂肪肝では逆に肝臓での合成が促進されて高い数値に
なります。

・血液凝固因子

プロトロンビン(PT)は、肝臓でつくられる血液凝固因子の一つで、プロトロンビン時間は、血奨に試薬を加えて凝固するまでの時間(秒)か、プロトロンビンの働きぐあいを健康な人のものと比較してパーセントであらわします。

急性肝炎、肝硬変、劇症肝炎などで肝機能が低下すると、凝固するまでの時間が長くなります。

15秒以上になると重度の肝障害が疑われます。

・血清総ビリルピン

黄疸で体が黄色くなるのは、ビリルビンが血液中にふえるためです。

間接ビリルビンと直接ビリルビン(D-Bil)の2つを合わせて総ビリルビン(T-Bil)といいます。

間接ビリルビンは、劇症肝炎や非代償性肝硬変などで肝機能が著しく低下すると、直接ビリルビンにつくりかえられなくなるので、血液中の量が増加します。

閉塞性黄疸や胆汁うっ滞では、胆道への排出ができずに直接ビリルビンが血液中に増加します。

・ICG試験

異物を排泄する肝臓の機能を調べる検査で、色素を静脈に注射して15分後に採血し、残った色素量を検査します。

肝硬変などを起こして肝臓の血液の流れが障害され、排泄機能が低下していると、血液中に色素が多く残ります。

注入15分後の値が15%以上で活動性の慢性肝炎、25%超で肝硬変の疑いがあります。

・血清絵コレステロール

T-Choといい、血液中のコレステロール量の検査で、コレステロールは大部分が肝臓で合成されるため、慢性肝炎や肝硬変などで肝機能が低下すると、血清総コレステロールの量は減少します。

反対に閉塞性黄痘や肝内胆汁うっ滞が起こると、胆汁の中にコレステロールが排泄されなくなるため、血清総コレステロール値は上昇します。

・膠賞反応

血清に試薬を加えてγ-グロブリンなどを凝固させ、混濁の度合いから肝障害を調べる検査です。

肝臓の働きが低下するにつれてγ-グロブリンが増加して値が高くなります。

・線雑化マーカー

慢性肝炎や肝硬変で肝細胞の破壊つづくと、肝細胞が再生されにくいため、細胞をつないでいたコラーゲンを主成分とした線維組織がどんどんふえていきます。

そのときに血液中にふえるPⅢP(Ⅲ型プロコラーゲンN末端ペプチド)やⅣ型コラーゲンを線維化マーカーといいます。

PⅢPは慢性肝炎、Ⅳ型コラーゲンは、慢性肝炎や肝硬変の進行とともに上昇します。

・ウイルスマーカー

肝炎ウイルスに感染した疑いがある場合には、感染の有無を調べる血液検査を行います。

肝炎ウイルスに感染すると、血液中にウイルス自体(抗原や遺伝子)が認められ、さらに免疫機能が肝炎ウイルスを排除しようとして、血液中に抗体(免疫グロブリン:Ig)ができます。

これは「ウイルスマーカー」とよばれ、ウイルス感染発見の目印になります。

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尿検査で肝細胞のダメージをみる・・・

・尿ビリルビン

肝細胞の障害や胆道にうっ滞が起きて、直接ビリルビンが胆汁に排出されにくくなると、腎臓から尿中に多量に排出されるようになります。

このとき尿の中に試験紙を浸し、試験紙の色が変わればビリルビンが排出されている証拠(陽性(+))となり、肝細胞障害や胆道の閉塞の危険性を示唆します。

尿ビリルビンは急性肝炎の初期には、黄疸があらわれなくても陽性になります。

そして、回復期に入ってビリルビンの量が減ると、黄疸が残っていても陰性反応を示します。

また、回復期に入ってビリルビンの量が減ってくると、黄疸が残っていても陰性反応を示します。

・尿ウロビリノーゲン

ウロビリノーゲンは、直接ビリルビンが胆汁とともに十二指腸に排出され、腸内細菌によって分解されてできる物質です。

本来、ウロビリノーゲンのほとんどは便にまざって体外に排泄されますが、一部は腸管から再吸収され、肝臓で再びどリルビンに合成されます。

ですから、肝機能が正常な人の場合は、尿の中のウロビリノーゲンの量は少ないので、試験紙はピンク色で弱陽性を示します。

しかし、肝細胞が障害を受けてビリルビンヘの再合成が低下すると、尿中に排出されるウロビリノーゲンの量が増加します。

このとき尿を検査すると、陽性になります。

とはいえ、運動後や食後、疲労や便秘で陽性反応が出ることもあります。

このため、この検査だけで 「肝臓病」と診断されることはなく、他の検査とあわせて判断する材料にされています。

・尿タンパク

C型やB型の肝炎ウイルスが、腎臓に膜性糸球体腎炎などを引き起こすと、陽性になります。



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