生理活性物質とは?
体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪があり、メタポリックシンドロームは内臓脂肪型の肥満によって生活習慣病を引き起こすおそれのある状態をいうんですね。
過剰な体脂肪は悪として見られがちですが、体脂肪そのものは、本来エネルギー貯蔵庫としての役割と内分泌細胞としての役割をもっているんです。
エネルギー貯蔵庫としての役割は、生きていくうえで必要不可欠なものなんです。
もうひとつの内分泌細胞としての役割とは、生理活性物質(アディポサイトカイン)というホルモンを分泌することなんです。
この生理活性物質は、コレステロールと同様に良悪2つの働きをするんです。
この良い面の働きをする生理活性物質のひとつがアディポネクチンなんです。
血管の傷ついた内壁を修復する働きがあるほか、インスリンの感受性の働きをサポートし向上させる働き、つまり脂肪や糖の消費を促し、メタポリックシンドロームを解消する作用などがあると考えられているんです。
アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるにもかかわらず、脂肪細胞が増えすぎると、分泌量が減るという性質があるんです。
つまり、内臓脂肪を多くかかえているメタポリックシンドロームの人は、アディポネクチンの分泌が低く、その量が少ない可能性があるんです。
アディポネクチンの分泌量を増やすには、適度なダイエットを行う、炭水化物を摂りすぎない栄養バランスのとれた食生活を送る、アルコールは1日1合に抑える、という3つの生活習慣を心がけることが必要なんです。
大豆食品にアディポネクチンが多く含まれているといわれているんですね。
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内臓脂肪を落とす方法とは?
メタポリックシンドロームを改善するには、まず健康診断を受ける必要があるんですね。
高血糖も高血圧も脂質異常症も、自覚症状はほとんどないんですね。
知らないうちに血管が傷み、深刻な状態になっていることもあるんです。
毎日の食生活がどのような検査値の異常につながっているのか、なぜ内臓脂肪を減らさなければならないのか、自分の体の仕組みと状態を知ることができるんです。
内臓脂肪がたまるのは、使うエネルギーより入ってくるエネルギーが多いからなんですね。
そこで、まず最初に考えられる対策は、入ってくるエネルギーを減らすこと、つまり食べすぎる習慣をなくすことなんです。
そしてもう一つは、使うエネルギーを増やすこと、つまり運動をすることなんです。
単純なようですが、これが基本中の基本なんです。
ただ、実際にどのようなやり方をするかは、内臓脂肪型肥満の程度などによって個人差が出てくるので、少しでもご自分でできることを選ぶようにしてくださいね。
メタポリックシンドロームを改善するためには、食事や運動については、次にあげるようなことに気をつけてくださいね。
まずは食事の栄養過多が問題で、気づかないうちに摂っている高エネルギーの食事、脂肪やコレステロールを多く含む食品に注意する必要があるんです。
栄養過多にならないように、いろいろな栄養素をバランスよく食べるようにすることが大切なんです。
運動は、ウォーキングなどの軽い運動でも効果があるんです。
内臓脂肪は比較的少ない運動量でも簡単に減らすことができるんです。
軽い運動でも、続けるようにすれば、確実に内臓脂肪を消費することができるんです。
できれば週に2~3回、30分くらいのウォーキングで十分なんですね。
腹囲のサイズが1mを超えているからといって、それを1週間で85㎝以内にする必要はないんです。
3ヶ月から半年で体重と腹囲を5%減らすことを目標にすればいいんですね。
体重が100kgの人なら5kgで、これを半年かけて減らすとすれば、1ヶ月に1㎏でいいわけです。
これで、どのように検査値が改善したか確認してみます。
やせることが目標ではないんですね。
しかも、内臓脂肪は皮下脂肪にくらべ、生活習慣を改善すると減りやすい脂肪なんです。
健診で、メタポリックシンドロームと判定された人は、今日からでも、メタポリックシンドローム対策を始めることが大切なんですね。
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脂質異常症の原因とは?
血液中の脂質の量がバランスをくずしている状態を脂質異常症といいます。
人間の血液中の脂質は大きく分けて、コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類があるんです。
このうち脂質異常症として問題になる脂質は、コレステロールと中性脂肪なんです。
コレステロールはとかく悪者扱いされがちですが、生命の維持には欠かせないんです。
細胞膜やホルモン、胆汁酸の材料や原料になるんです。
とはいうものの、注意が必要なのはコレステロールが多すぎる場合です。
動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞など数々の生活習慣病の引き金になるからです。
一方の中性脂肪ですが、これはエネルギーとして消費され、残りは皮下脂肪など体脂肪として蓄えられます。
しかし、中性脂肪も血液中に増えすぎると生活習慣病を招きます。
実際、心筋梗塞や脳梗塞を起こした人の多くは、コレステロールと中性脂肪がともに高いことがわかっているんです。
では、コレステロールと中性脂肪が血液中にふえすぎると、なぜ動脈硬化につながるのかについて、血液中でのコレステロールと中性脂肪の働きが関係するんです。
コレステロールや中性脂肪は油ですから水には溶けないんです。
そこで、血液中ではアポタンパクと呼ばれるタンパク質と結びついたリポタンパクという粒子の状態で存在しています。
リポタンパクは、大きさによってカイロミクロン、超低比重リポタンパク(VLDL)、低比重リポタンパク(LDL)、高比重リポタンパク(HDL)の4種類に大別されます。
中性脂肪を運ぶ機能のあるものが主にカイロミクロンとVLDLで、コレステロールを運ぶ機能があるものがLDLとHDLといいます。
食事でとった脂肪(中性脂肪)はまず小腸で吸収され、小腸で作られるカイロミクロンと結びついて血流に入り、エネルギーが必要な筋肉や脂肪組織へ送られます。
残りはカイロミクロンレムナントとして肝臓に運ばれ、再合成されてVLDLになります。
この、肝臓でつくられたいわば運搬船であるVLDLは、肝臓でつくられた中性脂肪を筋肉や脂肪組織へ運びます。
残りは分解されIDL(中間型リポタンパク)をへて、一部はLDLまで変化していきます。
LDLは、コレステロールを末梢の組織へと運びます。
すると細胞にあるLDLの受け口(レセプター)がこれを受け取り、細胞はコレステロールを利用します。
使い切れないぶんは細胞の中で分解され、そして再構成されて細胞膜の表面に出てきます。
こうした余分なコレステロールを末梢組織から回収して肝臓へ戻すのがHDLです。
このようなコレステロールの輸送の働きによって、細胞には一定以上のコレステロールがたまらないようになっています。
しかし、血液中のLDLがふえすぎたり、HDLが減ってしまうと、血液中や血管壁にとどまる余分なコレステロールが増え、それが動脈硬化の大きな要因になるんです。
ちなみに、こうした体内での役割の違いや影響の与え方から、いつしかLDL中のコレステロールを悪玉コレステロール、HDL中のものを善玉コレステロールと呼ぶようになったようなんですね。
難しい話になりましたが、とにかくコレステロールの摂り過ぎには気をつけなければならない、ということを言いたかったんですね・・・。