歯石がたまると歯肉炎に・・・
歯石がたまると、歯肉に炎症が生じます。
唾液がいつもたまっている前歯の内側(舌の側)などに、歯石ができます。
歯にしっかりとくっついた歯石は、小さな刃物(スケーラー)ではじくようにして取ります。
ちょうど、魚のうろこをはがす要領ですので、スケーリング(スケールというのは魚の「うろこ」です)と呼ばれます。
ただし、歯周病の治療のためのスケーリングは、見える部分の歯にくっついた歯石を取るものではなく、おもに歯ぐきにかくれて見えない部分の歯石を取る作業です。
歯ぐきにかくれた見えないところにも、歯の根にくっついているプラークや歯石があります。
歯と歯ぐきのつなぎ目にできてしまった歯周ポケットをきれいにするためには、歯周ポケットの壁面に入り組んだ歯石をかき取る作業が欠かせません。
この歯肉にかくれている毒性の強い歯石を取るのもスケーリングと呼んでいますが、歯肉の外の歯石を取るほどかんたんではありません。
使う器具も、スケーラーよりもさらに小さな耳かき状の刃物(キュレット)です。
歯肉にかくれた歯石は、見える歯石とちがって毒性が高く、治療のためには絶対に除去する必要があります。
歯肉にかくれた歯石は、歯の根の表面に入り組んでおり、歯ぐきにかくれて見えず、狭いために器具の操作がむずかしいのです。
ドブが浅い場合には、口のなかの見える部分のプラークコントロールができれば、ドブのなかは自然にきれいになります。
しかし、少し深くなると自然な改善には時間がかかります。
非常に深い場合には、表面のプラークコントロールでは、ドブのなかの状態を改善することができないばかりでなく、表面の歯肉の改善によって膿の出口がふさがれ、急性症状を起こすことさえあります。
歯肉にかくれたプラークや歯石は、耳かきのような小さな刃物で取り除きます。
歯石の表面は軽石のようにザラザラで、そこに細菌が大量にすみついています。
耳かき状の刃物や超音波の器具を歯ぐきのドブに差し込んで、一本の歯の根の一面一面をさぐり、歯石を取ります。
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歯の根の細菌の毒素とは・・・
歯石やプラークのこびりついていた歯の根の表面には細菌の毒素がしみ込んでいます。
歯石を取った根の表面もザラザラになっていますので、根の表面をよく研いだ耳かき状の刃物でツルツルにします。
根(ルート)を平滑(プレーン)にするから、この作業をルートプレーニングといいます。
この処置は、スケーリングの処置と同時に行います。
深い歯周ポケットの場合は、一般には麻酔注射をして痛みや不快感を感じなくさせてからこの処置を行います。
ドブのなかには壁にこびりついていない細菌もたくさんいて、これが歯周病の原因になる悪もののグループです。
このグループは、このスケーリングとルートプレーニングの処置によって同時にかき出されます。
目に見える歯ぐきの上の細菌がコントロールされ、歯肉の下の壁にくっついている細菌がなくなると、このグループは増えつづけることはできません。
一回のスケーリングで、深い歯周ポケットの歯石が完全に除去できるとは限りません。
改善しない部分は何度もチャレンジすることになります。
思ったような改善が認められなければ、外科的に歯の根を露出させ、目に見えるところできれいにします。
また、改善しないときは、別のかかりやすさの因子を疑う必要があります。
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ブラッシングで歯肉が変化する・・・
歯肉の炎症は長い期間経過すると、一般にブヨブヨした表面にツヤのある炎症症状から、ゴツゴツした感じに変わってきます。
ゴツゴツした感じになると歯肉の色もまだらになり、ツヤもなくなります。
このような歯肉は、適切なブラッシングをはじめても改善に時間がかかります。
歯肉に炎症があると、歯を支える組織の破壊がすすんでいない場合でも、歯周ポケットは深くなります。
炎症のために健康な位置より歯肉が盛り上がり、この盛り上がりの分だけ歯周ポケットが深くなるのです。
歯肉炎が改善すれば、歯周ポケットは浅くなります。
歯周炎のために深い歯周ポケットができてしまった場合、さまざまなプラークコントロールによって歯肉の炎症が軽くなり、歯肉が引きしまると、歯の長さが長くなったように見えます。
歯を支える骨や歯ぐきの位置が下がり、その分、歯周ポケットが浅くなるのです。
また、歯ぐきが健康をとりもどし、引きしまってくると、深いミゾが残っていても、器具は奥へ入りにくくなります。
深い歯周ポケットがなくなり、なかの細菌のようすが変化すると自然に出血はなくなります。
歯の治療というと、歯を削って詰めることや、入れ歯のように歯のないところをおぎなう治療を頭に浮かべる人が多いようです。
たしかに、かめるように歯のかたちを治すことや、かみ合わせを治すこと、そして外見をよくすることもたいせつなことに違いありません。
歯ぐきの健康を回復し、ふたたび歯ぐきの病気が再発しないようなプラークコントロールを自分のものにすることが大切なのです。
それがなければ、すべての治療はむだになってしまいます。
歯周病がすすんでしまった人の場合には、炎症がなくなっても深いミゾが残ることがあります。
このような場合には、比較的短いサイクルでミゾのなかを掃除してもらうことで、再発を防ぐことができます。
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