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血栓の原因は高コレステロール・・・
血栓とは、血が固まってできるかさぶたのようなものです。
高コレステロールや高血圧が原因で起こした血管は、内側が狭くなり詰まっています。
そんな血管に血栓ができてつまると、そこから先へ血液が送られず、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こします。
血栓は、健康な人の体内でも常に作られています。
何かの原因で血管壁が傷ついたりすると、補修しようと血液中の血小板が集まってきて、それに含まれる原料からフィブリンという特殊なタンバク質のかたまりができ血栓となるのです。
一方、人間の体には、血栓などをとかすプラスミンという酵素が存在し、不要な血栓を分解、排泄して血液の循環をスムーズにしています。
このプラスミンは通常プラスミノーゲンという物質の形で血液に含まれており、t-PAという酵素によってプラスミンとして働くようになります。
t-PAは、血管の内皮細胞(血管内壁の表面の細胞)で常に分泌されています。
ところが、加齢やストレス、動脈硬化などで血管が弱ると、分泌されるt-PAの量が減ってプラスミンも減少し、血栓をとかしきれなくなります。
やがて血栓をつくる力のほうがプラスミンにまさるようになると、血栓はとけないまま血管内を流れて別の場所で新たな血栓をつくったり、動脈硬化を起こした血管を詰まらせたりして、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすのです。
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コレステロール値が低いのも病気の原因になる・・・
コレステロール値は低ければ低いほど健康にいい、というのは大きなまちがいで、総コレステロール値は低すぎても、高すぎてもいけません。
ちょうどいい数値は200~240㎎/dlで、死亡率が高いのはコレステロール値が280㎎/dl以上のグループと180㎎/dl未満の低い数値のグループなのです。
長生きなのは、その中間のグループ、つまり180~279㎎/dlといった数値の人です。
総コレステロール値が極端に高くなれば、動脈硬化が原因の心臓病が起こってきます。
しかし、総コレステロール値が極端に低いとガンや肺炎、脳卒中などがふえてくるのです。
その理由は、コレステロールが人体にとって非常に重要な働きをするからです。
コレステロールは細胞膜の材料であり、男性ホルモンや女性ホルモンなどの性ホルモン、胆汁酸(胆汁の成分で脂肪の消化を助ける)、ビタミンDなどをつくるのに欠かせません。
このため、コレステロールが不足すると、さまぎまな不都合が起こってきます。
低コレステロールによってガンがふえるのは、免疫力が低下するためです。
また、正常な細胞がつくられにくく、細胞が変異を起こしやすくなってガン細胞がふえることも理由として考えられます。
また、低コレステロールは、うつ状態や自殺を引き起こす原因にもなります。
これは、細胞膜のコレステロールが少なくなると、セロトニンという神経伝達物質をとり込めなくなるからです。
セロトニンは喜びの感情に関係しており、足りなくなるとうつを起こすことがわかっているのです。
その結果、自殺につながるものと思われます。
研究では、総コレステロール値と、HDL(善玉)コレステロール値の低いグループが最も死亡率が高いというものでした。
総コレステロール値は、280㎎/dlを超えなければ、薬を飲んでまで下げる必要はありません。
ただし、家族性高コレステロール血症といって遺伝的にコレステロール値が上がりやすい人、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を複数あわせ持っている人は、医師と相談する必要があります。
一方、総コレステロール値が160㎎/dl以下の人は、低栄養が考えられるため、栄養バランスのとれた食事を心がけてコレステロールをふやすようにします。
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コレステロールと脂質異常症 ・・・
血液中には、コレステロール、リン脂質、中性脂肪、遊離脂肪酸などの脂質が存在していますが、コレステロール、リン脂質、中性脂肪は、タンパク質とくっついたリポタンパクという形で血液に溶け込み体内を移動します。
そのうち、コレステロールまたは中性脂肪の量がふえすぎたり、減りすぎたりする状態を脂質異常症と呼びます。
脂質異常症では、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患が起こりやすくなります。
脂質異常症には、次の3つのタイプがあります。
①LDL(悪玉)コレステロールが多すぎる場合
②HDL(善玉)コレステロールが少なすぎる場合
③中性脂肪(トリグリセライド)が多すぎる場合
脂質異常症かどうかは、血液検査を行って、血液の液体部分である血清1dl(100ml)中にコレステロールや中性脂肪が何gあるかを測定し、基準値に当てはめて診断します。
どのタイプも動脈硬化を促進しますが、特に問題なのはLDL(悪玉)コレステロール値が高い場合です。
実際はLDLコレステロール値と中性脂肪値の両方ともが高い患者さんもおり、その場合はさらに動脈硬化が早く進みます。
以前は、診断の基準に総コレステロール値も使われていました。
しかし、総コレステロール値が基準値以下なのにLDL(悪玉)コレステロール値が高かったり、あるいは、HDL(善玉)コレステロール値だけが高いために総コレステロール値が基準値以上になったりと、動脈硬化の危険性について必ずしも正確な判断ができない面があったのです。
そこで、日本動脈硬化学会では、診断の基準から総コレステロール値をはずし、動脈硬化性疾患により関連の強いLDLコレステロール値を基準にすることにしました。
病名も、従来使われてきた高脂血症から脂質異常症に変更されました。
これは、低HDL(善玉)コレステロール血症を高脂血症と呼ぶのは適当でないことによります。
ただし、診断名や薬が出るときは、高脂血症の名称も使われます。
脂質異常症の多くは、生活習慣の改善で治すことができますので、診断された人は、ぜひ生活習慣の改善に取り組むようにします。
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悪玉の小型LDLコレステロールとは・・・
現在の医学界ではコレステロール値に対する考え方が変わってきています。
以前は、総コレステロールの基準値である220mg/dlを超えたら高コレステロール血症と見なし、すぐに薬を飲んで下げようという考え方が主流でした。
しかし最近では、耗コレステロール値が240~250mg/dlと少々高めでも、糖尿病や心臓病などがなく、健康であれば治療をする必要はないという方向に変わってきたのです。
現在は、診断の際、総コレステロール値の測定をやめ、LDL(悪玉)コレステロール値をはかろうという方向に変わりつつあります。
むしろ問題となっているのは、超悪玉コレステロールが多いかどうかという点です。
超悪玉コレステロールとは、簡単にいえば粒の小さいLDLコレステロールのことです。
近年の分析方法の進歩によって、LDLコレステロールには、①粒が大きいもの、②粒が小さいものの2種類があることがわかりました。
粒が小さいものを小型LDL、あるいはスモールデンスLDLといい、これが超悪玉コレステロールです。
小型LDLが超悪玉であるのは、これが多いと動脈硬化を起こしやすくなるからです。
理由は、まず粒が小さいために血管の内壁に入り込みやすく、血管壁にたまりやすいことです。
また、小粒なため、ビタミンEやβカロチンなどの抗酸化作用のある物質を少ししか含んでいないこともあげられます。
抵抗力が弱く、酸化されやすく、動脈硬化を進める酸化LDLになりやすいのです。
たとえ総コレステロール値が160~180mg/dl程度と低くても、小型LDLを多く持っている人のほうが、動脈硬化や心筋梗塞の危険性が高く、注意が必要なのです。
この小型LDLは、メタポリックシンドロームの人に多いことがわかっています。
総コレステロール値は高くなくても、中性脂肪値が高く、HDL(善玉)コレステロール値が低い状態のときに小型LDLはふえていきます。
肝臓はコレステロールや中性脂肪をつくり、調節する働きを持ちます。
肝臓の働きが衰えると、脂質代謝の働きに異常が起こります。
するとLDLが小型LDLになるのです。
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