歯周病が気になる人に

歯周病とはどのような状態?

歯周病は30歳以上の成人の約85%がかかっているといわれています。

最初のうちは、あまり自覚症状がないので気がつかない人も多く、歯ぐきから膿が出てきて気づいたりします。

しかし、この段階になってしまうと、歯を残すことがむずかしくなります。

歯周病には歯肉炎と歯周炎の段階があり、歯肉炎は歯ぐきの炎症で、歯ぐきが赤く腫れて出血しやすくなります。

リンゴのような硬いものをかじって血が出るのは、歯肉炎が起こっている証拠です。

また歯を磨いた後、歯ブラシが赤くなる人も歯肉の出血があり、これも歯肉炎を起こしているからです。

しかし、歯肉炎の段階では痛みがないことが多いので、ついそのままにしてしまいます。

しかし、歯周ポケットに歯垢や歯石がたまっているのは明らかなので、それをとらないでいると歯周炎に発展します。

歯周炎まで進むと、歯ぐきの腫れや出血がひどくなり、痛みを感じることもあります。

また膿が出ることもあり、歯が前後左右に揺れるようになります。

これは歯周組織にまで炎症がおよんでいるためで、そのままにしておくと、重度の歯周病に発展します。

重度の歯周病は、歯槽骨がかなり溶けだしている状態で、膿も出ており、悪臭を放っている場合もあります。

歯を支える骨が破壊されているので、歯は支えを失い前後左右に揺れるだけでなく、上下にも揺れるようになります。

そのため、噛むたびに痛みが走り、ものが噛めなくなってしまうのです。

歯周ポケットが深くなり、歯の根っこの部分まで歯垢や歯石がたまっているので、麻酔なしでは除去できないのです。

歯を抜かなければならない場合もあります。

歯周病が疑われる場合

□朝起きたとき、口の中がネバネバする

□歯を磨いたり、硬いものを食べると出血する

□歯肉がむずがゆい、あるいは痛い

□歯肉が赤く腫れている(健康な歯肉はピンク色)

□歯肉が腫れて盛り上がっている

□口臭が気になる

□歯の裏に歯石がついている

□硬いものが噛みにくい

□歯が長くなったような気がする(歯肉が後退するため)

□歯と歯の間に隙間ができてきた(歯槽骨の破壊が始まったため)

□歯がグラグラする

□歯ぐきから膿がでる

実は、一つでもチェックが入れば、歯周病が始まっている可能性があります。

そして、歯周病を防ぐ一番の確実な方法は、口の中を清潔にしておくことなのです。

口の中を清潔にするとは、細菌の発生しやすい歯と歯の間や、歯と歯ぐきの間、すなわち歯周ポケットを清潔にすることなのです。

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歯周病は歯を失う可能性がある

唾液には歯周病を予防する働きがあり、唾液を分泌させるためにはよく噛まなければなりません。

しかし、噛まない食生活をしていると、唾液が十分に分泌されません。

歯周病は歯肉炎と歯周炎に分かれます。

歯肉炎は歯ぐきが腫れたり、出血するといった自覚症状があり、また、口臭で歯肉炎に気づく人もいます。

その段階を過ぎると、炎症は歯周組織にまでおよんでいき、これが歯周炎で、歯槽骨が炎症を起こすと膿がたまり、歯槽骨がだんだん溶けてきます。

この状態が歯槽膿漏で、それによって歯を支えておくことができなくなり、歯が抜け落ちるのです。

しかし歯槽骨には再生能力があるので、歯がグラグラした段階でも、抜かずに治すことは不可能ではありません。

かなり進行した歯周炎でも、歯垢や歯石の除去を徹底的に行えば、進行は止まります。

ところが歯槽骨が再生するよりも、歯肉の炎症が治るスピードのほうが早いため、そのままにしておくと、歯槽骨の溶けたところに、歯肉が入り込んできます。

それによって、歯槽骨の再生が阻まれてしまい、このため、歯周病が治っても、歯肉がもとの状態まで戻らず、歯が長くなったように見えたり、歯がしみたりすることもあります。

歯周炎になってからでは、治療がだんだんむずかしくなります。

しかし歯肉炎のうちに治療を受け、生活習慣を改めるようにすれば、現在では歯周病は決して怖い病気ではありません。

歯周病も細菌によって起こりますが、虫歯菌とは別の菌です。

歯周病菌は、歯と歯ぐき(歯肉)の間の歯周ポケット(歯肉溝)に入り込み炎症を起こします。

それによって、歯周ポケットがだんだん深くなっていきます。

歯周ポケットが深くなると、歯周病菌の棲みかである歯垢がたまりやすく、歯ブラシで簡単に除去することができなくなります。

さらに、歯周ポケットの底には酸素が十分に届かず、歯周病菌は嫌気性菌といって、酸素を嫌う性質をもっているので、より繁殖しやすくなり、歯周病が悪化していくのです。

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歯周病と脳梗塞の関係

成人の歯を失う原因のほとんどは歯周病で、歯周病は予防可能な病気ですが、一般にはそれほど大変な病気だと思っていない人が多いのです。

歯周病は歯垢の中に棲む歯周病菌によって起こり、この歯周病菌は肺炎の原因菌と一緒に気管に入り、そこから肺へと感染して、肺炎を起こすことがわかっています。

さらに、歯周病菌は、呼吸器に炎症を引き起こすほかの病原菌が気管支や肺に棲みつくのを助ける働きもあり、歯周病の人は呼吸器や肺の病気にかかりやすいのです。

また歯周病菌は歯周ポケットから血管に入り込みます。

実際、歯周病は生活習慣病と関連があり、動脈硬化を進行させ、脳梗塞のリスクを高めることがわかっています。

さらに歯周病は糖尿病を悪化させる要因の一つでもあることもわかっています。

糖尿病の人は歯周病になりやすく、またすでに歯周病になっている人は糖尿病が悪化しやすいのです。

一方、糖尿病の人が歯周病になると、歯周病の症状が悪化するという逆の関係も明らかにされています。

逆に、歯周病と糖尿病を併発している場合、歯周病を改善すると、糖尿病がよくなるのです。

このほか、歯周病が進行している人は肥満になりやすく、歯周痛になって歯がグラグラしてくるとしっかり噛めなくなるため、やわらかい食べ物を好むようになり、その結果、早食いになり、それが肥満につながるというわけです。

肥満は高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの原因となり、脳卒中や心臓病のリスクを高めます。

血管の老化を防ぐためにも、歯周病を予防しなければならないのです。

喫煙者は歯周病になりやすい

喫煙者が歯周病になりやすいこともわかっています。

喫煙年数が長い人ほど、歯周病が悪化しやすいといえます。

タバコに含まれるタールが、ヤニとして歯の表面にこびりつき、歯垢が付着しやすくなり、歯肉や口腔粘膜から吸収されたニコチンが、免疫機能を低下させ、歯周病菌に対する抵抗力を低下させます。

また歯周組織にニコチンが吸収されていると、傷口をふさぐ機能をもつ線維芽細胞の働きが鈍り、歯周の炎症が治りにくくなります。

さらにタバコを吸うと血管が収縮するので、血液循環が悪くなります。

それによって、歯周に十分な栄養が届けられなくなります。

またニコチンは歯周病を回復させる作用のあるビタミンCを破壊してしまいます。

もう一つ、ストレスがあると歯周病が悪化しやすいといわれています。

ストレスがあると免疫力が低下し、それによって、タバコの場合と同じように、口腔常在菌のバランスが悪くなり、歯周病菌の活動が活発になるのです。

さらにストレスは唾液の分泌を減らすことがあり、それによって、唾液による自浄作用が十分働かなくなり、歯に歯垢や歯石がつきやすくなります。

唾液の分泌低下は、加齢によっても起こり、また高齢者は免疫力が低下しがちなので、若い人より歯周病が悪化しやすいのです。

歯周病についていろいろお話ししましたが、参考になれば幸いです。

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