コレステロール値が高くなると?
コレステロール値が高いといわれてもと放っておく人は多いんですね。
でもですね、これを放置しておくと、体の中では静かに動脈硬化が進行し、血管の内側が狭くなって、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高くなるんですね。
この血管の老化ともいえる状況を作りだす危険因子の一つがコレステロールなんです。
動脈硬化はかなり進行しないと自覚症状が現れないんです。
LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、この数値が高くなるとよくないんですね。
逆に、HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれ、この数値が低いのはよくないんですね。
総コレステロール値が高めでもHDLコレステロール値が高く、他に高血圧や糖尿病、肥満がない人は、それほど心配いらないんですね。
逆に、HDLコレステロール値が低く、他の病気がある人は注意が必要なんです。
コレステロールは体内に存在する脂質の一つで、常温ではやや黄色味を帯びた白っぼい固体なんです。
血液中には4種類の脂質がありますが、中性脂肪や遊離脂肪酸がエネルギー源になるのに対し、コレステロールやリン脂質は主に細胞の構成成分として働くんです。
コレステロールは細胞を構成する細胞膜の材料になっているんですね。
人間の体は約60兆個の細胞で構成されていますが、一つ一つの細胞を家にたとえると、コレステロールは家を支える屋台骨のような役割を担っているんです。
また、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどホルモンの材料であり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の材料やビタミンDのもとにもなっているんです。
「悪玉」などと呼ばれていますが、本来は生命維持になくてはならない大切な成分なんですね。
動脈硬化が進んだ血管にはコレステロールが多く沈着していることや、総コレステロール値が高い人は虚血性心疾患の発症率が高いなどといわれていますので、コレステロール値が高いことは危険とされてきたんです。
ですので、多すぎてもいけないんですが、コレステロールの大切な働きを考えると、不足しても困るんです。
不足すると免疫力が低下して短命になるともいわれているんですね。
成人の体内にはおよそ100~140gのコレステロールがあり、全身に分布して働いているんです。
最も多くあるところが脳や神経系なんです。
多くのコレステロールを必要としているところなんです。
次に結合組織、脂肪組織、組織液、筋肉や皮膚、そして血液中や肝臓をはじめとしたさまざまな臓器に分布しているんです。
コレステロールは脂質なので、水が主成分である血液には溶けず、単独では血流に乗って移動できないんです。
リン脂質やたんばく質の水に溶けやすい部分を外側にして、コレステロールや中性脂肪を内側に包み込むような「リボたんばく」という粒子を形成し、水溶性となって血液中を移動するんです。
「リボたんばく」はいわばコレステロールや中性脂肪を運ぶ船のようなものなんですね。
含まれる脂質の割合によって、5種類あるんです。
LDLもHDLも「リボたんばく」の種類で、コレステロール自体には違いはないんです。
本来大切な役割をもつLDLが悪玉といわれるのは、肝臓から全身に循環する途中、臓器や細胞で使われなかった余分なコレステロールを動脈壁に押し込んでためてしまい、動脈硬化の原因を作ってしまうからなんですね。
HDLが善玉といわれるのは、逆に血液中や動脈壁にたまったコレステロールを引き抜き、回収して肝臓に届ける役割をしているからなんです。
コレステロールは70~80%が肝臓などで合成され、残りの20~30%が食べ物から吸収されています。
体内で適正な量になるよう、合成と吸収の量を調整しているんですね。
スポンサードリンク
LDLコレステロールが高いと?
血液中のLDLコレステロールが過剰になると、余ったコレステロールは動脈壁に入り込み、動脈硬化を引き起こしていくんです。
動脈硬化とは血管が柔軟性を失って硬くなり、狭くなって詰まりやすくなったり、破れやすくなったりする状態なんですね。
LDLコレステロールは動脈壁に入り込むと、活性酸素により酸化LDLに変化するんです。
この酸化LDLこそが動脈硬化の原因なんですね。
ですので、LDLコレステロールの過剰を防ぐだけでなく、活性酸素の発生を抑えることも重要なんです。
ストレスをためない、禁煙、抗酸化物質を含む食品を積極的に食べるなどの対策が必要になってくるんですね。
酸化LDLができると、免疫細胞のマクロファージが異物と認識し、食べて処理しようとするんです。
マクロファージは白血球の一種で会食細胞ともいわれる掃除屋さんなんです。
異物となった酸化LDLを食べてくれるんですね。
コレステロールをたくさん食べたマクロファージは泡状にふくれて泡沫細胞になり、血管の内皮細胞の内側にたまって血管壁を押し上げ、血管の内腔を狭くするんです。
この状態がいわゆる動脈硬化なんですね。
進行すると、こぶ状にふくれた血管壁が破裂し、壁を修復するように血栓ができるんです。
血栓は血小板が固まったもので、切り傷ができると血小板が働いて出血を止めますが、そのときにできる血のかたまりが血栓なんです。
血管壁でも同じことが起こり、血栓が血管の内腔をさらに狭め、ついに塞いでしまうんですね。
また、血栓がはがれて血管内を移動し、狭くなった血管を塞ぐこともあるんです。
動脈硬化が進むと、血管壁がこぶ状に盛り上がり、それが破裂して血栓をつくって血管を塞ぐことがあるんです。
これが心臓の冠動脈で起こるのが心筋梗塞、脳の動脈で起こるのが脳梗塞なんです。
いずれも死に至る病で、運よく命をとりとめても、重い後遺症が残ることが多いんですね。
また、心臓の筋肉が酸欠状態になって起こる狭心症や、血管壁が破けて起こる脳出血、足の指までの血流が滞って壊死する閉塞性動脈硬化症などの病気のリスクが高くなるんです。
これだけのリスクがあるにもかかわらず、動脈硬化の自覚症状はなかなか現れないんですね。
では、血管の内腔がどのくらい狭くなると症状が現れるんでしょうか?
狭心症の発作は肩、胸の中央部に痛みが走りますが、10分程度で治まるのが一般的なんです。
このような発作が起こるのは内腔が75%ほど狭くなるまで自覚がないんです。
心筋梗塞の場合は、内腔が50%ぐらいでも血栓ができて突然に発作の襲われることがあるんです。
自覚症状がないけれど、血管が動脈硬化という危険な状態になっていることを知らせてくれるのが、LDLコレステロールの数値なんです。
動脈硬化の最大の危険因子といえるんですね。
コレステロールは食品から吸収する分と肝臓で合成される分とがあり、そのバランスをうまくとっているんです。
ですので、コレステロールの材料が摂取過剰になると、余分なコレステロールができやすくなるんです。
コレステロールを多く含む食品の食べすぎはもちろんなんですが、肝臓で合成される場合も脂質や糖質が使われるため、食事で摂取するエネルギー量が多すぎても、コレステロールを増やすことになるんです。
戦後、日本人は肉や脂肪分の多い食品を多くとるようになりました。
体格は立派になった反面、コレステロール値を上げ、高血圧や肥満などが問題になっています。
肉類や脂肪分をとりすぎていないか、エネルギー過剰になっていないか、見直す必要があるんですね。
運動不足も低HDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症などを招き、血中コレステロールのバランスを乱し、動脈硬化を進行させるんです。
ストレスも関係していて、ストレスをためると暴飲暴食になってコレステロールを増やし、活性酸素を発生させてLDLの酸化を促進するんですね。
コレステロールについていろいろお話ししましたが、参考になれば幸いです。