セロトニンの働きとはどんなもの?
セロトニン神経が弱って、セロトニンが十分に脳内に分泌されていないと、ドーパミンやノルアドレナリンの暴走を止めることができなくなるんです。
セロトニン神経は脳の縫線核(ほうせんかく)にあり、セロトニン神経は一個の神経細胞から数万の神経突起に枝分かれして、大脳皮質、感情にかかわる大脳辺縁系、生存そのものにかかわる視床下部や脳幹、小脳、脊髄など、ほとんど脳全体に神経突起を伸ばして、セロトニンを分泌しているんですね。
目覚めている間、セロトニンは一定の濃度で維持されていますが、睡眠中はほとんど分泌されないんです。
睡眠中は脳の松果体で、セロトニンからメラトニンが作られて分泌されているんです。
このメラトニンの働きで、よい睡眠をとることができるんですね。
夜の間はメラトニンが働き、目覚めるとセロトニン神経が活動しはじめるんです。
ただし、セロトニン神経は、起きてすぐに活性化するわけではなく、徐々に上がっていくんですね。
セロトニン神経が順調に活性化していかないと、目覚めが悪く、心身の活動がスムーズに動きはじめないんです。
睡眠中は副交感神経が優位になっていて、呼吸もゆったりとして血圧も下がり、体温も下がるんですね。
それを目覚めとともに、活動的な交感神経を優位にしなければならないわけなんです。
セロトニン神経は覚醒とともに交感神経に働きかけて、血圧や呼吸を活発に活動させる方向にしてくれるんですね。
セロトニン神経が活性化することで、副交感神経が優位の休息体制から交感神経が優位の活動体制にスムーズに切り替わることができるんですね。
セロトニン神経が弱っていると、寝起きが悪く、起きても体がなかなかしゃっきりせずに頭もなかなか働かないんです。
セロトニン神経がひどく弱ると、一日中、そんな状態が続くことにもなりかねないんですね。
セロトニン神経が活性化されると、昼間の活動に適するように、副交感神経から交感神経への切り替えをスムーズにしてくれるんです。
そして、昼間活動している間は、セロトニンが分泌されて一定の活動性を維持するようになるんですね。
セロトニンは交感神経に働きかけますが、ノルアドレナリンのように過剰になることによって交感神経が緊張しすぎて心身に負担をかけるようになるわけではないんですね。
セロトニンは緊張しすぎた状態をつくるのではなく、適度に活動的な状態を維持するように働くんですね。
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脳内のセロトニンの仕組みとは?
セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど、それぞれの物質を分泌している脳内神経が、セロトニン神経、ノルアドレナリン神経、ドーパミン神経といわれるものなんです。
それぞれの物質を放出する神経細胞に対して、それぞれの物質を受け取る受容体を備えた神経細胞があるんですね。
神経から放出された物質が受容体とくっつくことで、その物質が作用するんですね。
セロトニン神経からセロトニンがたくさん分泌されて、それが受容体に結合すれば、セロトニンの効果が高まるんです。
セロトニン神経からセロトニンがたくさん放出されても、受容体と結びつかなかった分は、神経末端にある再吸収口から回収されるんです。
また、セロトニン再吸収口とは別に、セロトニン自己受容体といって、セロトニン神経の活動を制御する装置があるんです。
セロトニン再吸収口とセロトニン自己受容体は、同じようにセロトニン分泌量を調節するのですが、その役割は違うんですね。
再吸収口はセロトニン神経の末端にあって、シナプス間隙に放出されてセロトニンを受け取る神経に結合しなかった余った分を、ここから再吸収して再利用に回すんです。
セロトニン自己受容体は、セロトニンを受け取る神経の神経末端ではなくセロトニン神経細胞自体にあり、セロトニンが多く出過ぎて暴走することがないように、適度な量に保つようにしているんですね。
つまり、セロトニン神経の活動レベルを一定に保つようにコントロールしているんですね。
セロトニン神経が覚醒時に安定しているのは、セロトニン自己受容体のコントロールによるものなんですね。
このように、セロトニンには自己抑制回路があるので、多くなりすぎて暴走することなく一定レベルに保つように働いているんですね。
問題になるのはセロトニン神経が働きすぎてセロトニンが多くなるよりも、セロトニン神経が弱ってセロトニンが少なくなってしまうことなんです。
セロトニン神経が弱って、セロトニンが十分に出ていないと、朝の目覚めが悪く、活動体制への切り替えがスムーズにできないんです。
また、昼間の活動レベルも落ちて、ドーパミンやノルアドレナリンの暴走をコントロールすることができなくなって、さまざまな問題が生じるんです。
ドーパミンが過剰になれば依存症になったり、ノルアドレナリンをコントロールできないと興奮して怒ったり、すぐにキレてしまうことにもなりかねないんですね。
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気持ちを切り替えるセロトニンとは?
ストレスとの関係でセロトニンの大切な役割は、気持ちを切り替える作用があることなんですね。
脳には衝動性をコントロールする部分があり、両側のこめかみの部分の内側にあるんです。
困難なこと、嫌なことが起こって、それに対応できないと思うようなことがあっても、生きている限り現実的には対処しなきゃならないですよね。
そして、人間にはそうしたことに対処するために切り替える能力があるんですね。
日常ではいろいろなことに直面して、感情は揺れ動き、さまざまなストレスを絶えず受けているんです。
一時的な激しい感情を引きずることなく、ほとんどのストレスを何とか発散して、日常生活を送ることができるのは、気分を切り替える脳が備わっているからなんですね。
そこにセロトニンが絡んでいて、衝動性をコントロールする両側のこめかみの部分の内側で多く分泌されるんですね。
セロトニン神経からセロトニンがきちんと分泌されていれば、脳で気持ちの切り替えがスムーズに働くんです。
セロトニンは切り替える能力をスムーズに発現させる潤滑油みたいなものなんですね。
ですから、セロトニンの分泌が十分でなくなるような生活習慣をしていると、これがうまく働かなくなってしまうんですね。
悲しいことがあってその感情に引きずられていたり、いつまでも過去の出来事にこだわっていたり、くよくよと考えていたりするのは、切り替える能力がないからなんですね。
つまり、セロトニンがきちんと分泌されていないことが考えられるんです。
ノルアドレナリンが分泌されると危険などに対処することができるんです。
しかし、そのストレスは強く、それが長く続くと体や心にさまざまなトラブルや病気を引き起こしてしまうんです。
ドーパミンが分泌されて適切なストレスであれば、自分の夢や欲望をかなえるためのエネルギーになるんです。
そのために勉強したり仕事を頑張ることができるんです。
しかし、夢や目的がかなわなかったときには挫折してしまい、やる気力を失って現実に対処することができなくなってしまうかもしれません。
いずれにしても、気持ちを切り替えることが必要なんですね。
ドーパミンもノルアドレナリンも過剰にならず、また少なくなりすぎずに、適度に分泌されて適度に働いてくれるのがいい状態なんです。
もし、バランスがとれなくなったら気持ちを切り替えることが必要なんです。
ノルアドレナリン、ドーパミンの双方に対して、暴走にブレーキをかけて、気持ちを切り替えて心を安定した状態に戻すのが、セロトニン神経の役割なんですね。