画像診断で肝臓を撮影・・・
GOTやGPT、γ-GTPなどの血液検査の結果が正常範囲ではなく、尿検査の結果からも肝臓の障害が疑われる人は、画像診断によって肝臓の状態を調べます。
一般に、次の検査が行われます。
・超音波(エコー)検査
患者さんの体の表面に超音波の発信器を近づけ、内臓に反射した超音波をとらえてコンピュータ処理した画像によって診断する検査です。
脂肪肝や肝硬変、肝がんの診断に力を発揮します。
直径約1Cm以上のがんや血管腫瘍のほか、胆石や胆嚢ポリープなどが発見できます。
・CT(コンピュータ断層撮影)
数ミリメートルから1Cmの間隔で臓器をク輪切り″に撮影する検査です。
三次元CTでは肝臓の立体映像を得ることも可能で、肝がんの早期発見などに力を発揮します。
・MRI(磁気共鳴断層撮影)
強力な磁場に患者さんの体をおいて、体内の細胞中の水素原子の振動の様子をコンピュータで画像にして検査する方法です。
CTと同様、臓器を輪切りに撮影しますが、放射線を使うCTと違い、磁気を使った撮影による検査です。
・肝シンチグラフィー
肝臓の中にラジオアイソトープ(RI)を静脈注射で送り、RIの放射する放射線をフィルムに焼きつける検査です。
肝がんや線維化で肝細胞が欠落している部位が映像化されます。
・血管造影検査
カテーテル(細い管)を体外から血管に挿入し、肝臓まで送って肝臓の血管に造影剤を注入、Ⅹ線で肝臓の血管状態を撮影する検査です。
肝硬変や肝がんの診断のほか、さまざまな病気で使われます。
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腹腔鏡と肝生検で最終診断・・・
病状の確定診断に向けて、肝臓の様子を直接観察するのが、腹腔鏡検査と肝生検の2つの検査です。
腹腔鏡検査は腹部に直径1Cm以内の小さな穴をあけ、腹腔鏡(カメラのついた管)を挿入し、臓器の状態を肉眼で調べる検査です。
肝臓の形、大きさ、色、表面の状態(凹凸、結節、腫瘍の有無)、線維化の状態、血管の拡張・閉塞などをチェックします。
組織も採取できます。
ポラロイド撮影ができるので、患者さんは自分の肝臓の写真を見ながら、主治医からくわしい症状の説明と治療の内容を聞くことができます。
肝生検とあわせて、通常1週間程度入院して行う検査です。
肝臓に直接針を刺して肝臓の内部の組織を少量採取し、肝細胞の病変を顕微鏡で調べるのが肝生検です。
がん細胞の確認などは最終的にはこの検査によります。
局所麻酔で行うので、痛みはほとんどありません。
肝生検では突っ込んだ検査もでき、たとえば、急性肝炎か慢性肝炎かが、肝細胞の集合体である肝小葉の障害の様子から判断できます。
肝小葉の炎症と壊死の有無を観察すれば、慢性肝炎が活動性か非活動性かもわかります。
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肝臓に必要なエネルギー量・・・
慢性肝炎の人は、脂肪肝や生酒習慣病の合併を防ぐため、まず、いま以上に太らないことがたいせつです。
適切なエネルギー量の摂取で、体重を適正に保つようにします。
適切な摂取エネルギー量は、人によって違い、年齢や肥満度、生活の中の運動の強度によっても異なります。
適切な摂取エネルギー量を知るには、1日に必要なエネルギー量の目安を知っておく必要があります。
そのためにはまず、自分の身長に見合った標準体重を知る必要があります。
これは、次の計算式で求めます。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
次に、身長に見合った標準体重に、体重1㎏あたりの必要エネルギー量をかけます。
<1日に必要なエネルギー量>
・ウイルス性慢性肝炎 30~35kcal
・アルコール性脂肪肝 25~35kcal
・アルコール性肝硬変 30~35kcal
・肥満性脂肪肝 25~30kcal
脂肪肝で太っている人は1㎏あたり25キロカロリーから、そうでない人は30キロカロリーです。
肥満ぎみの場合は、少ないほうの数字を選びます。
太っている人は、この方法で求めたエネルギー量の食事を毎日つづければ、しだいにやせて、標準体重に近づいていくはずです。
自分が毎日適正なエネルギー量をとっているかどうかを知るには、体重をはかって、その変化を知ること以外に方法はありません。
ふえつづけたらとりすぎですし、減りつづければ不足しているのです。
体重を毎日はかるようになれば、適正な体重を保てるようになります。
体重は、朝起きて、トイレをすませたあと、朝食前にはかります。
体重計をトイレの近くにおいておきます。
宴会などでたくさん食べるときは、前日から食べる量を減らし、3日間ぐらいで調整します。