肝臓にはビタミンやミネラル抗酸化物質が必要・・・
肝臓病の人や、肝臓に障害のある人は、健康な人の2~3倍のビタミンをとる必要があります。
肝臓は、栄養素の代謝を行う際に多くのビタミンを必要とし、栄養素をビタミンに変えて貯蔵したり、新たにビタミンを合成したりする働きも行っているからです。
また、肝臓病になると、肝臓の働きが低下し、ビタミンが不足しがちになることもその理由の一つです。
ビタミンの中でも、ビタミンA・C・Eは「抗酸化ビタミン」と呼ばれ、活性酸素の書から体を守る働きがあります。
活性酸素は体内で発生し、体の細胞を傷つけ、動脈硬化や発がんの原因になる物質です。
また、ビタミンB群が不足すると、肝臓の機能が低下して代謝障害を起こし、だるさや食欲不振などの症状があらわれます。
ですから、症状の進行を抑えるためにも、ビタミンは毎日必要なのです。
ビタミンは、毎日食べる野菜や穀物、果物に豊富に含まれています。
特に野菜は「ビタミン、ミネラルをとるために食べるもの」といってもよいくらいに、多くの種類が含まれています。
ビタミン剤やサプリメントなどと違い、野菜や果物ならとりすぎて過剰症になる心配もありません。
毎日の食事で、野菜や果物を積極的に食べるようにします。
ミネラルは、微量でも体にとって欠くことのできない栄養素です。
骨や菌、神経など体をつくる材料になるだけでなく、体内でエネルギーをつくったり、栄養素を代謝する際の化学反応に必要な酵素を活性化したりするなど、全身でさまぎまな役割を果たしています。
ミネラルの中には、不足すると体調不良や病気の原因になるものもあります。
カルシウムの不足による骨粗髭症や、ヨウ素の不足による甲状腺腫瘍などです。
肝臓にも、リン、マンガン、銅、モリブデン、クロムなど、さまぎまなミネラルが存在し、糖質や脂質、タンパク質などの代謝・解毒にかかわっています。
ミネラルは、ビタミン以上に、とりすぎに気をつけなければいけません。
過剰症により中毒症状が起こる量の幅が、非常に狭いからです。
とはいえ、一般の食品からとっている分には、過剰症の心配はありません。
ビタミンCやビタミンEと同様に、植物にも、体の酸化を防ぐ抗酸化物質が含まれていることが明らかになっています。
有名なものでは、ぶどうやカカオに含まれるポリフェノール、ごまに含まれるセサミノールなどがあります。
これらは「ファイトケミカル(植物性化学物質)」と呼ばれ、植物が紫外線などの害と闘うためにつくり出したものです。
多くは色素や香りの成分に含まれ、それぞれ強力な抗酸化作用や脂肪の分解作用などで、がんや動脈硬化などの病気を防ぐのに役立ちます。
ファイトケミカルは健康食品やサプリメントで摂取することもできますが、野菜や果物には、何十種ものファイトケミカルが含まれています。
ですから、緑黄色野菜や香草などを毎日食べれば、自然にたくさんの抗酸化物質を体内にとり入れることができます。
肝臓病の人に野菜や果物の摂取をすすめる理由は、ビタミン、ミネラルとともに、この抗酸化物質がとれるからです。
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肝臓病の大敵は便秘・・・
肝臓病の人は、特に快便を心がけることが大切で、便が大腸内に長くとどまると、腸内細菌によって腐敗・発酵し、有害なガスや有害物質が発生します。
この一部が腸管から体内にとり込まれ、腹痛などの不快症状をまねくことがあります。
こうした体内の有害物質を解毒するのも肝臓の役割なので、便秘をしないことがたいせつです。
快便の維持、便秘解消に役立つのが食物繊維で、食物繊維は消化酵素で消化されない成分です。
水分を吸収し便をやわらかくするので、便通をよくしてくれるのです。
脂肪肝の人は、食事制限と運動で体重を落とす必要もあります。
食事制限の際に、食物繊維は有効な働きをします。
また、肝硬変に進んだ場合は、便秘を予防するために、食物繊維を多くとることが食事療法の必須条件になっています。
食物繊維が多い食事はエネルギーが低く、そのわりにはかさがあるので、食べはじめにとれば、早く満腹感を得られます。
また、胃で消化されるのに時間がかかるので、腹もちがよく、空腹感をあまり感じないですみます。
さらに、食物繊維には大腸の中で、余分な脂質が吸収されるのを抑制する働きもあります。脂質の多い肉などを食べるときは、ごぼう、れんこんなどの食物繊維の多い食品をいっしょに食べれば、脂質のとりすぎになるのを防いでくれるのです。
食物繊維には水にとけない不溶性食物繊維と水にとける水溶性食物繊維があります。
前者は便の量をふやす効果があり、後者は高血糖や動脈硬化の予防につながります。
食物繊維は伝統的な和食では十分にとれていましたが、やわらかい食品や加工食品を多くとるようになった現代では、不足しがちです。
野菜や穀物などいろいろな食品からとることが大切です。
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肝臓の負担になる食べ物・・・
同じ野菜でも、旬の露地栽培の野菜とハウス栽培の野菜では、含まれる栄養成分は大きく違います。
また、収穫された野菜は、時間がたつにつれて細胞が壊れ、栄養素を失っていきます。
こう考えると、最も栄養価が高いのは、旬のとれたて露地野菜ということになります。
野菜は、一概にはいえませんが、できるだけ新鮮な、旬の野菜を使うことが大切です。
加工食品には、さまぎまな食品添加物が使われており、食品添加物は、国の基準をクリアしたものが、人体に安全と定められた量だけ使われているので、すべてが有害なわけではありません。
しかし、肝臓にとって、解毒しなければならない物質には変わりありません。
たとえば、毎日がカップめんやコンビニのお弁当という食生活では、栄養バランスも偏ってくるうえ、肝臓にも負担になります。
こんな食生活がつづくときは、お店で買った総菜や弁当に、手作りスープやおひたしを1品だけでも追加して食べるようにします。
ビタミンやミネラルの摂取量がぐんと上がり、肝臓への負担軽減にもつながります。
食品の中には、肝臓に負担をかけ、肝炎を悪化させるものもあります。
保存料、着色料、人工甘味料など食品添加物を用いた食品は、その代表格です。
また、古くなって酸化した油は、空気中の酸素と鮨合して、過酸化脂質という有害物質になっています。
野菜や果物の農薬は水洗いしても、完全に洗い流されずに、野菜や果物に残ります。
こういった残留農薬も肝臓の負担増になります。
肝臓に悪い食品の摂取を減らすポイントは、次のとおりです。
①市販の弁当や総菜は、食品表示のラベルを確認し、添加物の少ないものを選ぶ。
②ハムやソーセージ、かまぼこなど、添加物の多く使われた加工食品は、つづけて食べることを避ける。
③いため物や揚げ物など、油を多く使った料理は、1日1品以下にする。
④野菜はできるだけ農薬の使用量が少ないものを選んで購入する。
⑤輸入された野菜や果物には日本の安全基準以上の農薬を使ったもの、薬品やカビ防止剤を散布したものがあるので、注意する。