糖尿病の原因は高血糖?
糖尿病とは、血糖、つまり血液中のブドウ糖の量が慢性的に多いという病気なんです。
ブドウ糖は全身の細胞を動かすエネルギー源であり、血糖は食事をすると増えて、空腹になると減ってきます。
血糖値とは、血液を検査して血糖の量を数値であらわしたもの、つまり、1dlの血液中に含まれているブドウ糖の重量を示したものなんですね。
健康な人は食事をとると血糖値は上昇するものの、一定の値を超えることはないんです。
しかし、糖尿病になると高い値が続くんですね。
血糖値が高いことを高血糖といい、これが続くと全身の血管や臓器を傷めるんですね。
それが原因で糖尿病の3大合併症と呼ばれる糖尿病性細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害など)を起こすだけでなく、さまざまな病気の発症につながるんですね。
また、血糖値が少し高い時期であっても血液中の過剰なブドウ糖が血管壁を傷つけ、その傷からコレステロールなどが入ると、動脈硬化が進むこともわかってきてるんです。
またですね、糖尿病では、自覚できる症状はほとんど現れないんです。
しかし、長年放置すると、失明したり、腎不全を起こして人工透析を受けざるをえない事態に陥ったりすることがあるんです。
健康診断や血液検査などで「血糖値が高い」と指摘されたら、食事療法や運動療法などを行って、血糖値を良好にコントロールする必要があるんですね。
もちろん、いまは血糖値が正常域の人も、予防を心がけるに越したことはないんです。
特に、両親のいずれかが糖尿病だという人は注意が必要なんですね。
糖尿病になりやすい体質は遺伝することから、糖尿病にかかっている親をもつ場合、その子どもが将来糖尿病になる確率は非常に高いんですね。
糖尿病は、こうした遺伝的な要因に加えて、生活習慣の要因も加わって発症するんです。
今の日本人のほとんどが食べすぎや運動不足に陥っているといっても過言ではないんです。
このことが、日本人に多い2型糖尿病の発症に大きく関係しているんですね。
しかし、糖尿病と診断されたとしても、そのときから血糖値を良好にコントロールできれば、普通の人と変わらない生活を送ることができるんです。
すぐそこに迫っている糖尿病の危険をできる限り遠ざけようとする意識をもつことは、とても大切なんですね。
高血糖の人も、そうでない人も、まず、自分の血液検査の数値を確認して、異常値であれば食生活や、運動の習慣を見直すことが大切なんですね。
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糖尿病の血糖値の数値は?
糖尿病は尿に糖(ブドウ糖)が出ると思われがちですが、尿糖が出てくるのはある程度進行してからなんですね。
初めは血糖値、つまり血液中のブドウ糖濃度が食事のあとだけ高い、食後高血糖となってあらわれるんです。
食物は胃で消化され、腸でさらに消化され、食物に含まれる栄養素が吸収されます。
栄養素のうち炭水化物はブドウ糖にまで分解され、小腸の上部から吸収されますが、吸収されたブドウ糖が血液の中に入ると血糖値が上がるんです。
そして血糖値が140㎎/dlぐらいに上昇すると、すい臓のランゲルハンス島という細胞群から、インスリンというホルモンが分泌されるんです。
インスリンは血糖、つまり血液中のブドウ糖を細胞の中にとり入れる働きをもっています。
インスリンが適正に働いていれば、ブドウ糖は血液中に必要以上にとどまらず、日々の活動のエネルギー源として肝臓や筋肉などの細胞にとり込まれていくんです。
逆に、インスリンの量が十分でなかったり、働きが弱いと、血液中のブドウ糖がいつまでも残って、高血糖の状態になるんです。
インスリンがきちんと働いていれば、血糖値は高くても160㎎/dl程度までなんです。
これが170~180㎎/dlを超えると、尿にブドウ糖が出てくるんですね。
空腹時血糖の正常値は、70~109㎎/dlが目安とされているので、血糖が正常値をはるかに超えて初めて尿糖が確認されるんですね。
ブドウ糖が血液内にだぶついた状態である高血糖になると、ひどく疲れる、だるくてやる気が起きないなどの症状が出てきます。
しかし、高血糖で最もこわいのは、それによって引き起こされる副産物としての合併症なんです。
ブドウ糖はタンパク質と結合しやすい性質をもっているため、血液中のブドウ糖は体のあちこちでタンパク質と結合するんです。
これを糖化といい、細胞のタンパク質が糖化されると、細胞本来の働きを損なうんです。
つまり、血液中にある必要以上のブドウ糖が、全身の臓器にさまざまなダメージをもたらすんです。
ブドウ糖の影響によって、血管は細く弱くなります。
目の毛細血管にこれが起こると網膜症から失明に至ったり、腎臓の毛細血管に起こると人工透析が必要な腎不全につながるんです。
神経が冒されて神経障害を起こし、手足がビリビリとした痛みを感じることもあるんです。
血液は血管を通って全身に新鮮な酸素や栄養素を運んでいます。
血管の状態が悪くなって血流がとどこおり、血液によって運ばれる酸素や栄養素がきちんと行き渡らないと、血流が届かない部位は壊死してしまうんです。
また、太い血管がダメージを受けると、心筋硬塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化など、命にかかわる病気を引き起こしかねないんですね。
ただ、こうしたトラブルは、血糖値が高くなってもすぐに生じるわけではないんです。
だからこそ、血糖値が高いとわかったら、それを下げる努力が大切なんですね。
高血糖になりやすいのはまず、遺伝的な素因をもっている人なんです。
親や兄弟など家族に糖尿病の人がいる場合は、気をつけて定期的にチェックする必要があるんですね。
また女性の場合、4kg以上の巨大児を産んだことがある人は糖尿病になりやすいといわれているんです。
もちろん、高血糖になるのは後天的、環境的な影響もあります。
たとえば食事で炭水化物を多くとっている人や、過食や多食の人は、血中に入ってくるブドウ糖の量が多くなるので当然血糖値が上がりやすくなります。
ご飯やパン、ケーキなどの甘いもののとりすぎには注意が必要なんです。
また、肥満している人、それも特に内臓脂肪の多い人はインスリンの働きが悪くなるため、高血糖になりやすいんです。
ですので、ある程度のダイエットが必要なんですね。
もし健診などで「血糖値が高めです」といわれたら、そのまま放置しないで、ぜひ一度、日常生活を見直す必要があるんですね。
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糖尿病の診断とは?
糖尿病であるかどうかの診断は血糖値が基準で、血液を採取して血糖値を調べる血糖検査の結果を基本にして行われるんですね。
糖尿病の診断のための血糖検査では、空腹時血糖値、ブドウ糖負荷試験2時間値、随時血糖値が使われるんです。
空腹時血糖値
10時間以上絶食し、空腹の状態で採血して調べた血糖値のことです。
多くは、検査前日の夜9時ごろまでに夕食をとったあと何も食べずに、翌日の午前中に採血して調べます。
健康診断などでは、この空腹時血糖値の検査がよく行われます。
ブドウ糖負荷試験2時間値
ブドウ糖負荷試験とは、一般に10時間以上絶食した空腹の状態で、75gのブドウ糖を溶かした液体を飲み、30分後、1時間後、2時間後に採血して血糖値を調べる検査です。
食後の血糖値の変動をみるもので、この2時間後の血糖値を基準に使います。
随時血糖値
食事をとった時間に関係なく採血して測定した血糖値のことです。
日本糖尿病学会の診断基準では、これら3つの血糖値によって糖尿病が疑われるかどうかを判定します。
つまり、以下のいずれかに当てはまる場合は糖尿病型と判定されるのです。
○空腹時血糖値が126㎎/dl以上の場合
○ブドウ糖負荷試験2時間値が200㎎/dl以上の場合
○随時血糖値が200㎎/dl以上の場合
糖尿病型とは、糖尿病が非常に強く疑われるという意味です。
糖尿病型にあてはまっても、糖尿病と診断されたわけではありません。
というのも、血糖値は検査日前夜の食事や飲酒、さらには一過性のストレスなどの影響で一時的に高くなることがあり、1回の血糖検査ですぐに診断を下すのは不確かな面があるからなんです。
そのため、糖尿病型と判定された場合は、別の日に医療機関で再検査を受け、その結果によって確定診断されるんです。
「境界型」の人も油断は禁物で、生活習慣の改善が必要になるんです。
ところで、日本糖尿病学会の判定基準では、検査結果によって次の2つの血糖値のいずれも満たす場合を正常型といいます。
○空腹時血糖値が110㎎/dl未満
○ブドウ糖負荷試験2時間値が140㎎/dl未満
正常型なら、血糖値に特に問題がないといえるんですね。
正常型と糖尿病型の中間に境界型というのがあるんです。
これは、いわゆる糖尿病予備軍にあたるものなんですね。
まだ糖尿病型とはいえないものの、正常型の人とくらべると将来糖尿病に進行する可能性が高い状態なんです。
この境界型には、●糖尿病型に進行する場合、●境界型にとどまる場合、さらに●正常型に戻る場合があります。
乱れた生活習慣をつづければ、それだけ糖尿病型に進むおそれがあるんですね。
境界型は、糖尿病の第一段階ととらえられているんですね。
ただし、境界型の人は生活習慣の改善の結果が出やすく、比較的容易に正常型に戻ることができるんです。
境界型と診断されたら放っておかずに、生活習慣を見直す絶好の機会と考えて、積極的に食事や運動に気を配り、定期的に検査を受けるようにすることが大切なんですね。
確定診断のための再検査では、問診や2回目の血糖検査を受けます。
3種類の血糖検査のうちどれかひとつを受けることになりますが、1回目とは別の血糖検査が行われることが多いようです。
よく行われるのはブドウ糖負荷試験です。
なお、糖尿病型の人で、次の各項目のいずれかにあてはまる場合は、再検査をせずに「糖尿病」であるとの診断が確定することもあるようです。
○糖尿病の典型的な症状である口渇(のどが渇く)、多飲(水をたくさん飲む)、多尿(尿量がふえた)、体重減少などがある
○HbAlc(ヘモグロビンエーワンシー)が6.5%以上
○糖尿病性網膜症がある
以上のいずれにもあてはまらないときは、再検査(2回目の血糖検査)を受けます。
そして、その血糖検査の結果、やはり糖尿病型と判定されたら、糖尿病と確定診断されるんですね。
糖尿病についていろいろお話ししましたが、参考になれば幸いです。