タンパク質は肝臓に不可欠・・・
タンパク質は血液や内臓、筋肉、骨や皮膚をつくる重要な栄養素です。
酵素やホルモン、免疫物質など、生命を維持するのに欠かせない多くの物質のもとにもなります。
体をつくっているタンパク質の一部は、毎日少しずつ分解され、新しく入れかわっているので、毎日タンパク質を補給しつづけなければなりません。
肝臓に炎症がある人にとって、このタンパク質の摂取は不可欠です。
肝臓は、2000種類以上の酵素の作用によって働いているので、タンパク質が不足しつづけると肝臓の機能は低下するためです。
また、破壊された肝細胞を再生して修復するにも、タンパク質が必要です。
タンパク質が不足すると筋肉やほかの臓器のタンパク質が利用されることになるので、必要量をきちんととることがたいせつです。
タンパク質は多数のアミノ酸が結合したもので、体内に入ったタンパク質は、胃腸でこのアミノ酸に分解され、肝臓で、人間の体をつくるタンパク質に組みかえられます。
このとき、人間の体のタンパク質をつくるには、動物性のタンパク質のほうが効率よく利用されます。
ですから人間にとって、動物性タンパク質(肉、魚介、卵、牛乳など)のほうが植物性タンパク質よりよいタンパク質ということができます。
しかし、動物性食品は脂質が多いという欠点があります。
そこで実際の食事では、動物性と植物性のタンパク質の両方をとることがすすめられます。
タンパク質は、健康な成人で1日60~80gとることが推奨され、これは肉などの食品自体の量ではありません。
肝臓病の食事療法では、現在の体重1kgあたり、1日1.0~1.5gのタンパク質をとることが適切とされています。
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脂質は摂り過ぎに注意・・・
脂質は栄養素の中で最も効率のよいエネルギー源で、ビタミンA・D・E・Kは脂質がないと効率よく体に吸収されません。
ですから肝臓病の人はビタミン不足を防ぐためにも、脂質をとる必要があります。
しかし、とりすぎは肥満や脂質異常症(高脂血症)、脂肪肝の原因にもなってしまいます。
肝臓病の人は意識して脂質摂取を控えたほうがよいのです。
具体的には、健康な人と同じく摂取エネルギーの20~25%(1日の摂取エネルギーが1800キロカロリーの人なら、36~45g) の脂質量が適量です。
肥満で脂肪肝の場合は、20%以下に抑えるべきです。
脂質の多い食品といえば肉で、100gの豚バラ肉に約40g、豚もも肉に約20g含まれています。
一方、魚は100gあたり1g~数gのものが多く、特に自身の魚は低脂肪です。
主菜には肉と魚を交互にとるほうがよいのです。
脂質は卵、マヨネーズ、菓子パンなどいろいろな食品に含まれています。
こうした食品から意識せずにとっている脂質を考えると、調味料としてとるのは1日大さじ1~2杯(12~24g)が適量です。
脂質には動物性(肉の脂身、ラード、バターなど)と植物性があります。
動物性の脂は体内で固まりやすい性質があるうえ、とりすぎるとコレステロールや中性脂肪がふえ、動脈硬化をまねく原因にもなるので、肝臓病の人は、特にとりすぎないように注意が必要です。
なたね油、オリーブ油、大豆油などの植物性の油には、逆にコレステロールを下げるものもあります。
青背の魚に含まれる油は植物性油と同じ仲間のサラサラした油で、生活習慣病を防ぐ働きがあります。
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塩分は1日10gに抑える・・・
塩分は、1日3~6gとれば十分な成分ですが、国民栄養調査によると、日本人の塩分摂取量は長い間、1日12~13gでした。
特に中高年男性の塩分摂取量は高止まり状態を示していました。
そこで厚生労働省は、塩分摂取は、1日10g未満を目標とすすめています。
アルコール性肝硬変などでむくみが出ている場合には塩分制限をする場合がありますが、そうでない場合は、肝臓病でも特に制限はありません。
しかし、がんや生活習慣病の合併を避けるためには、塩分はとりすぎないほうがよいのです。
精製塩の塩分は小さじ1杯で6gしょうゆは1gみそは0.7gと覚え、特に和食での使いすぎに注意します。
また、ふだん使うしょうゆをだしでわったものにするだけで塩分量はかなり違ってきます。
濃い味つけに慣れている人は、薄味のだしじょうゆでおいしさがわかるようになれば、自然と塩分摂取量が抑えられることになります。
野菜や果物、海藻類に含まれるカリウムや食物繊維には、余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあります。
<だしじょうゆの作り方>
10㎝ぐらいの昆布2枚、干ししいたけ2個、頭とはらわたを取り除いた煮干5~10本
①水500mlを入れた空き瓶に、だしの材料を入れ、冷蔵庫で一晩置きます。
②一度煮立てて、冷まし、しょうゆを入れて出来上がり。