肝臓のためのお酒の飲み方・・・
体には、適度な脂質が必要で、エネルギー源となるだけでなく、ビタミンAやビタミンEなど脂質にとけるタイプのビタミンの吸収を高めたり、体内で利用される際に手助けをしてくれたりするからです。
以前は、肝臓の悪い人には食事からの脂質の摂取量を制限していたこともありましたが、最近では、適正に脂質をとるほうがかえってよいということで、肝臓が少々悪くても、黄疸が出ているような場合でなければ、特に脂質摂取を制限していません。
しかし、脂質はカロリーが高いので、とりすぎると肥満の原因になるので注意が必要です。
特に酒のつまみには油脂分の多い食品が少なくないうえに、酒は胃液の分泌を促して食欲を高める働きがあるため、脂っこいものをつい食べすぎがちで、それが一因になって肥満を起こすと、脂肪肝をまねきます。
やはり、脂肪分の多い食品はとりすぎないように十分な注意が必要です。
たとえば肉なら、脂身を避けるくらいのほうが賢明です。
また、酒を飲みながら薬を飲むのはとても危険な行為で、アルコールも薬物の一種であり、薬によってはアルコールと相互作用を起こして、必要以上の薬効をもたらすことがあるからです。
睡眠薬と酒をいっしょに飲んで、死に至るケースもあります。
服薬時の飲酒は、絶対しないようにします。
また、薬の中には、アルコールの代謝を遅らせ、嫌酒薬と同じような効果をもたらすものもあります。
ふだんからよく酒を飲む人が手術を受けたときに麻酔が効きにくかったり、糖尿病で血糖降下薬を常用している人がお酒を飲むと、薬が効きすぎて低血糖症が引き起こされたりということがあります。
これは、肝臓の解毒作用と関係があります。
肝臓の解毒作用を担うのは、P-450という酵素群です。
ふだんからよく酒を飲んでいると、この酵素群の働きはパワーアップします。
その結果、アルコール以外の薬物に対しても、解毒作用が高まってしまい、薬が全然効かない、というような現象が起きてくるわけです。
また、反対に薬効を高めてしまうこともあり、糖尿病の薬などはその一例です。
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二日酔いを解消するには・・・
ひどい二日酔いのときに、冷たいビールを飲み干したら、さっきまでの頭痛がウソのように消えた、こんな経験をしたために「迎え酒をすると、二日酔いが治る」と勘違いする人がいますが、これは大きなまちがいです。
迎え酒は 「百害あって一利なし」です。
二日酔いは、まだアルコールが抜け切らないために起こるものです。
そこにまたアルコールを入れることは、夜通し働きづめの肝臓にさらに無情の鞭を与えることにほかなりません。
すっきりした気分になるのは、迎え酒でまた新たに酔っぱらい、感覚がマヒしているだけなのです。
二日酔いの苦しさ、つらさは、アルコールが分解されてできたアセトアルデヒドによるものです。
肝臓で、アルコールが、二日酔いのもとであるアセトアルデヒドから無害な酢酸に変わるのには一定の時間が必要です。
一晩(8時間)で処理できるアルコールは、たとえば日本酒なら2合、ビールなら大びん2本が目安です。
また、肝臓は処理しなければならないアルコールがどんなにあっても、能力の限界を超えて働く(アセトアルデヒドを分解する)ことはできません。
二日酔いに苦しむ朝の肝臓は、前夜から徹夜で働きつづけても、まだアセトアルデヒドを分解し切れていない状態にあります。
アセトアルデヒドは、何かを食べると分解が促進されます。
頑張っている肝臓のためにも、二日酔いの日の朝食はきちんと食べたいものです。
二日酔い解消には体内のアルコールを外に出し、有害なアセトアルデヒドの分解を促すことがカギです。
そのためには、水分を補給して汗をかくことも一つの方法です。
水分補給で血中のアルコール濃度が薄まり、尿といっしょに早く排泄されるからです。
飲んだ翌朝に顔がむくんだときには、水のがぶ飲みはやめて、サウナで汗をかくとか、熱いお茶を1~2杯飲むとよいです。
お茶には利尿作用があります。
また、食べ物をとると肝臓の血流が増して働きがよくなります。
果物に含まれる果糖は、アルコールの代謝を高めます。
食べるのは、そのときどきの季節の果物でかまいませんが、とりすぎは脂肪肝をまねくので、注意が必要です。
昔から二日酔いによいとされている梅干しには、肝臓を活性化させるピクリン酸が含まれています。
ビタミンやミネラルが豊富な食品や、タンパク質を多く含む食品も肝臓にはよいといえます。
刺激が少なく消化がよいとうふや卵、肝臓を守るタウリンを豊富に含むしじみやあさりなどをみそ汁にして飲むのもおすすめです。