共同相続人からの相続回復請求

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共同相続人からの相続回復請求

最高裁大法廷昭和53年12月20日判決
民集32巻9号1674頁、判時909号3頁

<事実>

相続人の一人を除外して遺産分割されたため、除外された相続人が文句をいった事件である。

被相続人には、妻A、亡長男の子Y1、亡次男の子BとX、三男Y2、四男Y3の相続人がいる。

ところが、分割に際して、Xを除外して、不動産甲はY1が、同乙はY2が、同丙はY3が取得するものと合議し、それぞれ相続を原因とする単独の所有権移転登記がなされた。

これに対して、分割から除外されたXが、Yらを相手に、上記3つの不動産についてのXの共有持分権の回復を根拠として、右の単独名義の所有権移転登記の抹消を訴求したのが本訴である。

これに対してYらは、Xの請求は相続回復請求である、とすれば本訴の前にXのなした遺産分割調停の取下げから5年以上経過しており、民法884条の消滅時効が完成していると抗弁。

原審では、Xの請求を通常の共有権に基づく妨害排除請求と解してXの持分の限度でその請求を認めたために、Yらは、民法884条は相続人の一人からの請求にも適用がある(ゆえにXの相続回復請求権は時効消滅している)と主張して上告した。



<判旨>上告棄却

民法旧993条(現884条)は、遺産相続人相互間における争いにも適用があるとの解釈のもとに適用されていたものと考えられる。

「共同相続人のうち一人又は数人が、相続財産のうち自己の本来の相続持分をこえる部分について、当該部分についての他の共同相続人の相続権を否定し、その部分もまた自己の相続持分であると主張してこれを占有管理し、他の共同相続人の相続権を侵害している場合は、右の本来の相続持分をこえる部分に関する限り、共同相続人でない者が相続人であると主張して共同相続人の相続財産を占有管理してこれを侵害している場合と理論上なんら異なるところがないと考えられる。」

「共同相続人のうち一人又は数人が、相続財産のうち自己の本来の相続持分を超える部分について、当該部分の表見相続人として当該部分の真正共同相続人の相続権を否定し、その部分もまた自己の相続持分であると主張してこれを占有管理し、真正共同相続人の相続権を侵害している場合につき、民法884条の規定の適用をとくに否定すべき理由はないものと解するのが相当である。」

「自ら相続人でないことを知りながら相続人であると称し、又はその者に相続権があると信ぜられるべき合理的な事由があるわけではないにもかかわらず自ら相続人であると称し、相続財産を占有管理することによりこれを侵害している者は、本来、相続回復請求制度が対象として考えている者にはあたらないものと解するのが、相続の回復を目的とする制度の本旨に照らし、相当というべきである。」

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