家賃収入と遺産を併せて分割できない

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相続がやって来たら相続に関する判例>家賃収入と遺産を併せて分割できない

家賃収入と遺産を併せて分割できない

東京高裁昭和56年5月18日決定
家月35巻4号55頁

<事実>

被相続人の死亡により6名が共同相続した。

原審(東京家審昭和55・2・29)以来の争点は多岐にわたるが、遺産収益に限定して要約する。

本件各建物(共同住宅2棟)は、相続開始の前から第三者に賃貸されていた。

相続開始に生じた、遺産の果実たる家賃(月額約15万円ないし16万円)は、終始Y1女が受取り、本件争いが生じるまで、すなわち相続開始後約10年間、他の相続人はなんら異議を述べなかった。

遺産分割にさいして、X1女・X2男らは、この家賃収入(年額180万円とすれば、10年間で約1800万円前後になろう)も、本件遺産分割の対象とすべきであると主張した。

遺産総額は6560万円余である。



<判旨>

@原審「相続開始後遺産分割までの間相続財産から生ずる家賃は、相続財産そのものではない。

また、遺産分割は相続開始時に遡及して効力を生ずるが、これは遺産分割により共同相続人中の一部相続人帰属した財産を被相続人から当該相続人に直接承継されたものとするための擬制であり、それによって相続開始後遺産分割までの間相続財産から生ずる家賃が遺産分割によって上記建物を取得する当該相続人に当然の帰属するものと解すべきでない。

これらの家賃は、相続財産の果実であり、相続人が複数いるときには、相続財産におけると同様な持分のよる共同相続人間の共有財産であるが、相続財産とは別個の共有財産であり、その分割又は清算は原則的に訴訟手続によるものと解するのが相当である。

もっとも、これらの家賃が相続財産と同様の持分による共有財産であり、相続財産と同時に分割することによって権利の実現が簡便に得られるなどの合理性が認められることを考慮すると、相続財産と一括して分割の対象とする限り、例外的に遺産分割の対象とすることも許されるものと解する。

この場合、当事者の訴権を保障する観点からすれば、相続開始後遺産分割までの間の家賃を遺産分割の対象とするには、当事者間にその旨の合意のあることが必要であるというべきである。」

A抗告審「遺産は、民法上特別の規定がない限り相続開始時に被相続人に帰属していた財産のみに限られるのは当然であり、遺産の果実である家賃収入が遺産に属しないことは、いうをまたないところであるから、これを遺産とは別個の財産として、共同相続人らの遺産に対する共有持分の割合に従い右の相続人らに帰属せしむべきものとし、共同相続人間の合意がない限り、右の家賃収入を遺産とあわせて分割することはできない趣旨を判示した原審判は相当である。」

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