遺産分割後の登記を経ない不動産と第三者の対抗

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相続がやって来たら相続に関する判例>遺産分割後の登記を経ない不動産と第三者の対抗

遺産分割後の登記を経ない不動産と第三者の対抗

最高裁昭和46年1月26日判決
民集25巻1号90頁、判夕259号153頁

<事実>

被相続人Aには11人の相続人があり、遺産は本件不動産甲・乙・丙。

これら不動産につき、X1〜X7が各7分の1の持分を取得する旨の調停が成立した。

その旨の登記を経ないでいる間に、X1の債権者等の代位申請により、右各不動産につき法定相続分に応じた持分の保存登記がなされた。

そこでX2〜X6が、X1ほかの相続人を相手として、右の保存登記が実体、すなわち調停による持分と一致しないことを理由として、更正登記手続き請求の訴えをなし、これに勝訴し、判決は確定した。

ところが、X1の債権者であるY1〜Y3は、右の判決の確定する20日程前に、前記不動産に対するX1・X2の持分全部の仮差押決定を得て、その旨の登記も終えていた。

X1〜X7は、前記の判決に基づいて各持分の更正登記をなすについて、登記簿上の利害関係を有するY1〜Y3の承諾を求めたのが本訴である。

1審・2審ともXらが敗訴したため、Xらが上告。



<判旨>上告棄却

「遺産の分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいったん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができない・・・」。

「論旨は遺産分割の効力も相続放棄の効力と同様に解すべきであるという。

しかし、民法909条但書の規定によれば、遺産分割は第三者の権利を害することができないものとされ、その限度で分割の遡及効は制限されているのであって、その点において、絶対的に遡及効を生ずる相続放棄とは、同一に論じ得ないものとされ、その限度で分割の遡及効は制限されているのであって、その点において、絶対的に遡及効を生ずる相続放棄とは、同一に論じ得ないものというべきである。

遺産分割についての右規定の趣旨は、相続開始後遺産分割前に相続財産に対し第三者が利害関係を有するにいたることが少なくなく、分割により右第三者の地位を覆すことは法律関係の安定を害するため、これを保護するよう要請されるというところいあるものと解され、他方、相続放棄については、これが相続開始短期間にのみ可能であり、かつ、相続財産に対する処分行為があれば放棄は許されなくなるため、右のような第三者の出現を顧慮する余地は比較的乏しいものと考えられるのであって、両者の効力の差別を設けることにも合理的理由が認められるのである。

そして、さらに、遺産分割後においても、分割前の状態における共同相続の外観を信頼して、相続人の持分につき第三者が権利を取得することは、相続放棄の場合に比して、多く予想されるところであって、このような第三者をも保護すべき要請は、分割前に利害関係を有するにいたった第三者を保護すべき前示の要請と同様に認められるのであり、したがって、分割後の第三者に対する関係においては、分割により新たな物権変動を生じたものと同視して、分割につき対抗要件を必要とするものと解する理由があるといわなければならない。」

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