相続人から不動産の共有持分を譲り受けた第三者

相続人から不動産の共有持分を譲り受けた第三者

相続がやって来たら
スポンサードリンク
相続がやって来たら相続に関する判例>相続人から不動産の共有持分を譲り受けた第三者

相続人から不動産の共有持分を譲り受けた第三者

最高裁昭和50年11月7日判決
民集29巻10号1525頁、判夕329号115頁

<事実>

被相続人夫婦が相次いで死亡し、これらの養子BとYが共同相続した。

Bは、分割協議を経ずに、単独で本件土地につき持分2分の1とする共有登記を了し、自己の持分権をXに贈与し、その旨の登記を終えた。

Xは、Yを相手として、本件土地建物について2分の1の持分権を有することの確認と、競売による共有物の分割を求めて、本件を提起した。

1審ではXの請求が認められたが、2審では、遺産中の特定財産の共有持分権を譲り受けた第三者は、遺産分割前に右の財産について共有物分割訴訟を提起することはできないとの立場から、原判決取消し、訴え却下としたため、Xが上告。



<判旨>破棄差戻し

@「共同相続人が分割前の遺産を共同所有する法律関係は、基本的には民法249条以下に規定する共有としての性質を有すると解するのが相当であって・・・、共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者は、適法にその権利を取得することができる・・・、他の共同相続人とともに右不動産を共同所有する関係にたつが、右共同所有関係が民法249条以下の共有としての性質を有するものであることはいうまでもない。

そして、第三者が右共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、民法907条に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割訴訟であると解するのが相当である。

けだし、共同相続人の一人が特定不動産について有する共有持分権を第三者に譲渡した場合、当該譲渡部分は遺産分割の対象から逸出するものと解すべきであるから、第三者がその譲り受けた持分権に基づいてする分割手続を遺産分割審判としなければならないものではない。

のみならず、遺産分割審判は、遺産全体の価値を総合的に把握し、これを共同相続人の具体的相続分に応じ民法906条所定の基準に従って分割することを目的とするものであるから、本来共同相続人という身分関係にある者または包括受遺者等相続人と同視しうる関係にある者の申立に基づき、これらの者を当事者とし、原則として遺産の全部について進められるべきものであるところ、第三者が共同所有関係の解消を求める手続きを遺産分割審判とした場合には、第三者の権利保護のためには第三者にも遺産分割の申立権を与え、かつ、同人を当事者として手続に関与させることが必要になるが、共同相続人に対して全遺産を対象とし前叙の基準に従いつつこれを全体として合目的的に分割すべきであって、その方法も多様であるのに対し、第三者に対しては当該不動産の物理的一部分を分与することを原則とすべきものである等、それぞれ分割の対象、基準及び方法を異にするから、これらは必ずしも同一手続によって処理されることを必要とするものでも、またこれを適当とするものでもなく、さらに、第三者に対し右のような遺産分割審判手続上の地位を与えることは前叙遺産分割の本旨にそわず、同審判手続を複雑にし、共同相続人側に手続き上の負担をかけることになるうえ、第三者に対しても、その取得した権利とはなんら関係のない他の遺産を含めた分割手続の全てに関与したうえでなければ分割を受けることができないという著しい負担をかけることがありうる。」

A「これに対して、共有物分割訴訟は対象物を当該不動産に限定するものであるから、第三者の分割目的を達成するために適切であるということができるうえ、当該不動産のうち共同相続人の一人が第三者に譲渡した持分部分を除いた残余持分部分は、なお遺産分割の対象とされるべきものであり、第三者が右持分権に基づいて当該不動産につき提起した共有物分割訴訟は、ひっきょう、当該不動産を第三者に対する分与部分と持分譲渡人を除いた他の共同相続人に対する分与部分と分割することを目的とするものであって、右分割判決によって共同相続人に分与された部分は、なお共同相続人間の遺産分割の対象になるものと解すべきであるから、右分割判決が共同相続人の有する遺産分割上の権利を害することはないということができる。

このような両手続の目的、性質等を対比し、かつ、第三者と共同相続人の利益の調和をはかるとの見地からすれば、本件分割手続としては共有物分割訴訟をもって相当とすべきである。」

無料相続メール相談はこちら

Amazonで相続判例を調べる
カテゴリ
共同相続人からの相続回復請求
遺留分減殺請求権の消滅時効
遺産分割終了後の相続人の存在
内縁の夫婦の一方の死亡とその相続人
養子の子の代襲相続
亡相続人の特別受益と代襲相続人の関係
亡相続人の寄与分と代襲相続人
遺言の要件を補充した相続人と欠格事由
非行を繰り返す推定相続人の廃除
遺言による相続人の廃除
離婚訴訟中の夫婦の一方からの廃除
不法行為による慰謝料請求は相続の対象
葬儀費用は葬式主宰者が負担
共同相続人全員の合意の不動産の売却代金
遺産分割前の保管相続財産へ相続分請求
死亡した連帯債務者の数人の相続人
保険金受取人の指定のない保険金
生命保険金受取人が死亡した場合の受取人変更
法定相続人の保険金の取得割合
生命保険金は特別受益の持戻しとならない
賃貸人の賃借相続人への解除の意思表示
家屋賃借人の内縁の妻の居住
扶養料の相続と扶養料の支払命令
共同相続人の一人の不動産の単独登記
相続放棄と登記
遺産分割後の登記を経ない不動産と第三者の対抗
遺贈の不動産の二重譲渡と登記と対抗
代襲相続人の寄与分の主張
家賃収入と遺産を併せて分割できない
一部の相続人の放棄の認定
相続人から不動産の共有持分を譲り受けた第三者
債権者による遺産分割請求権の代位行使
家裁は審判で分割に関する処分をできる
相続の承認放棄の熟慮期間の起算点
相続の承認放棄の熟慮期間の伸長
相続の単純承認の効果が生ずるとき
相続放棄受理前に遺産たる債権の取立て
相続放棄は詐害行為取消権の対象とならない
相続人である後見人が他の相続人の放棄
相続放棄の申述書は自署が原則
相続放棄無効の確認訴訟は不適法
相続放棄に法律上無効原因がある場合
取得時効完成後に相続財産管理人が選任
遺言執行者がある場合でも相続財産管理人が管理
実質上の配偶者と養親子は特別縁故者
被相続人のヒモ的存在の特別縁故性
被相続人の療養看護した看護婦の特別縁故性
傍系親族の特別縁故関係の否定
被相続人の死後の特別の縁故
約20年前の一定期間の縁故で財産分与
共有者の一人が相続人なくして死亡した共有持分
相続開始後25年を経た財産分与申立
不倫相手に遺贈する遺言も有効
特定の遺産を「相続させる」旨の遺言
受遺者が作成した遺言書に遺言者が署名
自筆証書遺言の判定は筆跡の鑑定
英国人作成のタイプライターによる自筆証書遺言
日付について運筆を助けた自筆証書遺言
日付が封筒に記載された自筆証書遺言
帰化した外国人が作成した押印のない自筆証書遺言
加除訂正の方式違背の遺言の効力
証人の立会いが筆記の終了後の公正証書遺言の効力
公正証書遺言の立会証人が視覚障害者
先に書面作成され口授された公正証書遺言の効力
遺言者が公証人の意思確認だけの公正証書遺言
証人の署名押印が遺言者不在の危急時遺言
遺言者の生前の遺言無効確認の訴え
遺言者の死後の遺言無効確認の訴え
遺言無効確認の利益の有無と生前贈与
相続債権者が代位して持分取得登記
農地の贈与者の死亡と知事の許可
相続人のない者から包括遺贈の不動産登記
受遺者から所有権移転登記は遺言執行者
遺贈を原因とする仮登記の抹消登記請求
負担付死因贈与で生前に負担を履行
扶養のための養子縁組で遺贈後の離縁
生前の寄付行為で遺言の寄付行為の取消
金銭の贈与の遺留分算定の貨幣価値
農家の遺産の維持に貢献した寄与分
全財産を贈与した場合と公序良俗違反
遺留分権利者の減殺請求権の意思表示
遺留分減殺請求が権利の濫用
夫婦関係の形骸化での遺留分減殺請求
遺産分割請求は黙示の遺留分請求の意思表示
遺留分減殺請求権と目的物返還請求権の消滅時効
遺留分放棄の申立の許可
相続放棄許可審判の取消申立を却下する審判へ抗告
相続開始後に放棄の取消を認められない
Copyright(C)相続がやって来たらAll Rights Reserved
免責事項
当サイトの情報を利用してトラブル等が発生しましても、管理人は一切責任を負うものではありませんのでよろしくお願いいたします