取得時効完成後に相続財産管理人が選任

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取得時効完成後に相続財産管理人が選任

最高裁昭和35年9月2日判決
民集14巻11号2094頁、判時236号18頁

<事実>

Aは昭和20年に空襲によって死亡し、同年9月以降Aの遺産である甲地はAの事実上の選定家督相続人であるXが占有している。

また、戸籍上はAの養子B、Bの養子X、との届出がされているが右届出はAの叔父(Xの父)が独断で行なったものである。

Yは昭和30年5月に公示送達の手続により、戸籍上Aの相続人として記載されているBに対して甲地の所有権移転登記手続を求めて提訴し、判決を得て登記手続を行なった。

昭和30年9月にXよりYに対し時効取得に基づき所有権確認等を求めて提訴したが、その後の昭和31年12月4日にAの相続財産法人について相続財産管理人が選任されている。

1審・2審ともXが勝訴したためYが上告した。



<判旨>上告棄却

「原判決は「民法160条は時効期間経過前6ヶ月前に相続財産管理人の選任された場合の規定であって、右説示のごとく被控訴人の取得時効完成後管理人が、選任された場合にはその適用のないものというべきであるから、右時効完成の時期は、前記管理人の選任により異同を生じない」旨判示していることは所論のとおりである。

しかし、相続財産に関しては相続人が確定し又は管理人の選任せられた時より6ヶ月以内は時効の完成しないことは右民法160条の明定するところであって、従って相続人確定又は管理人選定なき限り相続財産に属する権利及び相続財産に対する権利については時効完成はあり得ないのである。

それ故相続人確定又は管理人選任前たとえ相続財産たる不動産を10年間所有の意思をもって平穏且つ平然、善意無過失に占有したとしてもこれによって取得時効が完成することはないのであるから、この点に関する原判決の解釈は誤りであるといわねばならない。

けれども原判決は本件相続財産につき昭和31年12月4日相続財産管理人が選任されたことを認定しており、その後6ヶ月内に時効中断の事由のあったことは上告人の何ら主張していないのであるからその後6ヶ月を経過した昭和32年6月4日取得時効が完成したものと認めるべきである。」

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