共有者の一人が相続人なくして死亡した共有持分

共有者の一人が相続人なくして死亡した共有持分

相続がやって来たら
スポンサードリンク
相続がやって来たら相続に関する判例>共有者の一人が相続人なくして死亡した共有持分

共有者の一人が相続人なくして死亡した共有持分

最高裁平成元年11月24日判決
民集43巻10号1220頁、判時1332号30頁

<事実>

本件土地は元被相続人Aの夫であるBの所有であったが、Bの死亡により妻AとBの兄弟姉妹等合せて29名による共有となった。

その後Aが相続人なくして死亡したため、X1・X2が特別縁故者に対する財産分与の申立を行い、家裁はX1・X2に対してAの共有持分を2分の1ずつ分与する旨の審判をした。

X1・X2は右審判に基づきAの持分全部移転登記申請を行なったが、法務局において、登記すべきものではないとの理由で上記申請が却下され、これに対する審査請求も棄却されたため、前記却下決定の取消しを求めて提訴した。

1審は請求を認容したが、控訴審は原判決を取消し請求を棄却したため、X1・X2より上告した。



<判旨>原判決破棄

「そして、右958条の3の規定の新設に伴い、・・・相続人なくして死亡した者の相続財産の国庫帰属の時期が特別縁故者対する財産分与手続の終了後とされ、従前の法959条1項の特別規定である法255条による共有持分の他の共有者への帰属時期も右財産分与手続の終了後とされることとなったのである。

この場合、右共有持分は法255条により当然に他の共有者に帰属し、法958条の3に基づく特別縁故者への財産分与の対象にはなりえないと解するとすれば、共有持分以外の相続財産は右財産分与の対象となるのに、共有持分である相続財産であっても、相続債権者や受遺者に対する弁済のため必要があるときは、相続財産管理人は、これを換価することができるところ、これを換価して弁済したのちに残った現金について特別縁故者への財産分与の対象となるということになり、不合理である。

さらに、被相続人の療養看護に努めた内縁の妻や事実上の養子など被相続人と特別の縁故があった者が、たまたま遺言等がされていなかったため相続財産から何らの分与をも受け得ない場合にそなえて、家庭裁判所の審判による特別縁故者への財産分与の制度が設けられているにもかかわらず、相続財産が共有持分であるというだけでその分与を受けることができないというのも、いかにも不合理である。

これに対し、右のような場合には、共有持分も特別縁故者への財産分与の対象となり、右分与がされなかった場合にはじめて他の共有者に帰属すると解する場合には、特別縁故者を保護することが可能となり、被相続人の意思にも合致すると思われる場合があるとともに、家庭裁判所における相当性の判断を通して特別縁故者と他の共有者のいずれに共有持分を与えるのが妥当であるかを考慮することが可能となり、具体的妥当性を図ることができるのである。

したがって、共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続きが終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象として残存することが確定したときにはじめて、法255条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。」

無料相続メール相談はこちら

Amazonで相続判例を調べる
カテゴリ
共同相続人からの相続回復請求
遺留分減殺請求権の消滅時効
遺産分割終了後の相続人の存在
内縁の夫婦の一方の死亡とその相続人
養子の子の代襲相続
亡相続人の特別受益と代襲相続人の関係
亡相続人の寄与分と代襲相続人
遺言の要件を補充した相続人と欠格事由
非行を繰り返す推定相続人の廃除
遺言による相続人の廃除
離婚訴訟中の夫婦の一方からの廃除
不法行為による慰謝料請求は相続の対象
葬儀費用は葬式主宰者が負担
共同相続人全員の合意の不動産の売却代金
遺産分割前の保管相続財産へ相続分請求
死亡した連帯債務者の数人の相続人
保険金受取人の指定のない保険金
生命保険金受取人が死亡した場合の受取人変更
法定相続人の保険金の取得割合
生命保険金は特別受益の持戻しとならない
賃貸人の賃借相続人への解除の意思表示
家屋賃借人の内縁の妻の居住
扶養料の相続と扶養料の支払命令
共同相続人の一人の不動産の単独登記
相続放棄と登記
遺産分割後の登記を経ない不動産と第三者の対抗
遺贈の不動産の二重譲渡と登記と対抗
代襲相続人の寄与分の主張
家賃収入と遺産を併せて分割できない
一部の相続人の放棄の認定
相続人から不動産の共有持分を譲り受けた第三者
債権者による遺産分割請求権の代位行使
家裁は審判で分割に関する処分をできる
相続の承認放棄の熟慮期間の起算点
相続の承認放棄の熟慮期間の伸長
相続の単純承認の効果が生ずるとき
相続放棄受理前に遺産たる債権の取立て
相続放棄は詐害行為取消権の対象とならない
相続人である後見人が他の相続人の放棄
相続放棄の申述書は自署が原則
相続放棄無効の確認訴訟は不適法
相続放棄に法律上無効原因がある場合
取得時効完成後に相続財産管理人が選任
遺言執行者がある場合でも相続財産管理人が管理
実質上の配偶者と養親子は特別縁故者
被相続人のヒモ的存在の特別縁故性
被相続人の療養看護した看護婦の特別縁故性
傍系親族の特別縁故関係の否定
被相続人の死後の特別の縁故
約20年前の一定期間の縁故で財産分与
共有者の一人が相続人なくして死亡した共有持分
相続開始後25年を経た財産分与申立
不倫相手に遺贈する遺言も有効
特定の遺産を「相続させる」旨の遺言
受遺者が作成した遺言書に遺言者が署名
自筆証書遺言の判定は筆跡の鑑定
英国人作成のタイプライターによる自筆証書遺言
日付について運筆を助けた自筆証書遺言
日付が封筒に記載された自筆証書遺言
帰化した外国人が作成した押印のない自筆証書遺言
加除訂正の方式違背の遺言の効力
証人の立会いが筆記の終了後の公正証書遺言の効力
公正証書遺言の立会証人が視覚障害者
先に書面作成され口授された公正証書遺言の効力
遺言者が公証人の意思確認だけの公正証書遺言
証人の署名押印が遺言者不在の危急時遺言
遺言者の生前の遺言無効確認の訴え
遺言者の死後の遺言無効確認の訴え
遺言無効確認の利益の有無と生前贈与
相続債権者が代位して持分取得登記
農地の贈与者の死亡と知事の許可
相続人のない者から包括遺贈の不動産登記
受遺者から所有権移転登記は遺言執行者
遺贈を原因とする仮登記の抹消登記請求
負担付死因贈与で生前に負担を履行
扶養のための養子縁組で遺贈後の離縁
生前の寄付行為で遺言の寄付行為の取消
金銭の贈与の遺留分算定の貨幣価値
農家の遺産の維持に貢献した寄与分
全財産を贈与した場合と公序良俗違反
遺留分権利者の減殺請求権の意思表示
遺留分減殺請求が権利の濫用
夫婦関係の形骸化での遺留分減殺請求
遺産分割請求は黙示の遺留分請求の意思表示
遺留分減殺請求権と目的物返還請求権の消滅時効
遺留分放棄の申立の許可
相続放棄許可審判の取消申立を却下する審判へ抗告
相続開始後に放棄の取消を認められない
Copyright(C)相続がやって来たらAll Rights Reserved
免責事項
当サイトの情報を利用してトラブル等が発生しましても、管理人は一切責任を負うものではありませんのでよろしくお願いいたします