遺言無効確認の利益の有無と生前贈与

遺言無効確認の利益の有無と生前贈与

相続がやって来たら
スポンサードリンク
相続がやって来たら相続に関する判例>遺言無効確認の利益の有無と生前贈与

遺言無効確認の利益の有無と生前贈与

最高裁昭和56年9月11日判決
民集35巻6号1013頁、判時1023号48頁

<事実>

被相続人Aは昭和43年7月に死亡し、同人の妻Bは昭和51年7月に死亡した。

A・Bは連名で昭和43年5月付けの自筆証書遺言を残しており、右遺言の趣旨は、Aが死亡した後はまずBが遺産を取得し、A・B共に死亡した後は遺産を9名の相続人のうちY1ないしY4に遺贈するとの内容であった。

相続人のうちX1・X2よりY1ないしY4に対し遺言の無効確認を求めて提訴。

無効の理由は、A・Bが遺言を自書していないこと、共同遺言禁止規定違反等である。

これに対しY1ないしY4は本案前の申立として、X1・X2が訴えの利益についてなんら主張していないこと、X1・X2は生前にAから相続分に相当する財産の贈与を受けており相続分はゼロであること、遺言無効確認の訴えは必要的共同訴訟であることを主張し、請求の却下を申し立てた。

1審は、訴えの利益については「遺言が有効であるとすれば、・・・Yらが所有権を取得する反面、Xらが共有持分権を取得し得なくなるので、Xらにおいて本件訴を提起する法律上の利益を有することは明らか」とし、Xらにおいて本件訴を提起する法律上の利益を有することは明らか」とし、Xらの具体的な相続分がない点については、「特別受益者であるか否かは・・・相続財産に対する具体的権利関係の存否が争われた場合に当事者の主張をまって問題とさるべきものであり、遺言無効確認訴訟の訴の利益の存否に判断に際して考慮さるべきものではない」と認定し、必要的共同訴訟の点については、「確認訴訟として許容せらるべき遺言無効確認の訴は、その実質が相続財産に対する相手方の権利の全部又は一部の不存在の主張であること及び相続財産に対する共同所有関係は合有ではなく共有と解すべきであることに鑑みれば、遺言無効確認の訴を、当事者以外の者にまで判決の効力を及ぼすべき特種の訴と解さなければならいない法的根拠に乏しいものといわなければならない。・・・

即ち遺言無効確認の訴は通常の確認訴訟であって、固有又は類似の必要的共同訴訟と解すべきものではない。」と認定して、Yらの本案前の申立をいずれも斥け、本案については共同遺言禁止規定の違反するとしてXらの請求を認容した。

2審も原審の判断を是認したため、Yらが上告した。

なお、本案に対するXらの主張は、本遺言書はすべてAが単独で作成しており、Bの署名押印もAが行なっているからAの遺言とみるべきであり、共同遺言には当らないというものである。



<判旨>上告棄却

「遺言無効確認の訴訟において原告である相続人に確認の利益があるか否かは、遺言の内容によって定めれば足り、原告が受けた生前贈与等により原告の相続分がなくなるか否かは、将来における遺産分割の時に問題とされるべき事項であることに鑑みると、原則として右確認の利益の存否の判断においては考慮すべきものではないと解するのが相当である。」

「原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、本件遺言無効確認の訴が固有必要的共同訴訟にあたらないとした原審の判断は、正当として是認することができる。」

「同一の証書に2人の遺言が記載されている場合は、そのうち一方に氏名を自書しない方式の違背があるときでも、右遺言は、民法975条により禁止された共同遺言にあたるものと解するのが相当である。」

無料相続メール相談はこちら

Amazonで相続判例を調べる
カテゴリ
共同相続人からの相続回復請求
遺留分減殺請求権の消滅時効
遺産分割終了後の相続人の存在
内縁の夫婦の一方の死亡とその相続人
養子の子の代襲相続
亡相続人の特別受益と代襲相続人の関係
亡相続人の寄与分と代襲相続人
遺言の要件を補充した相続人と欠格事由
非行を繰り返す推定相続人の廃除
遺言による相続人の廃除
離婚訴訟中の夫婦の一方からの廃除
不法行為による慰謝料請求は相続の対象
葬儀費用は葬式主宰者が負担
共同相続人全員の合意の不動産の売却代金
遺産分割前の保管相続財産へ相続分請求
死亡した連帯債務者の数人の相続人
保険金受取人の指定のない保険金
生命保険金受取人が死亡した場合の受取人変更
法定相続人の保険金の取得割合
生命保険金は特別受益の持戻しとならない
賃貸人の賃借相続人への解除の意思表示
家屋賃借人の内縁の妻の居住
扶養料の相続と扶養料の支払命令
共同相続人の一人の不動産の単独登記
相続放棄と登記
遺産分割後の登記を経ない不動産と第三者の対抗
遺贈の不動産の二重譲渡と登記と対抗
代襲相続人の寄与分の主張
家賃収入と遺産を併せて分割できない
一部の相続人の放棄の認定
相続人から不動産の共有持分を譲り受けた第三者
債権者による遺産分割請求権の代位行使
家裁は審判で分割に関する処分をできる
相続の承認放棄の熟慮期間の起算点
相続の承認放棄の熟慮期間の伸長
相続の単純承認の効果が生ずるとき
相続放棄受理前に遺産たる債権の取立て
相続放棄は詐害行為取消権の対象とならない
相続人である後見人が他の相続人の放棄
相続放棄の申述書は自署が原則
相続放棄無効の確認訴訟は不適法
相続放棄に法律上無効原因がある場合
取得時効完成後に相続財産管理人が選任
遺言執行者がある場合でも相続財産管理人が管理
実質上の配偶者と養親子は特別縁故者
被相続人のヒモ的存在の特別縁故性
被相続人の療養看護した看護婦の特別縁故性
傍系親族の特別縁故関係の否定
被相続人の死後の特別の縁故
約20年前の一定期間の縁故で財産分与
共有者の一人が相続人なくして死亡した共有持分
相続開始後25年を経た財産分与申立
不倫相手に遺贈する遺言も有効
特定の遺産を「相続させる」旨の遺言
受遺者が作成した遺言書に遺言者が署名
自筆証書遺言の判定は筆跡の鑑定
英国人作成のタイプライターによる自筆証書遺言
日付について運筆を助けた自筆証書遺言
日付が封筒に記載された自筆証書遺言
帰化した外国人が作成した押印のない自筆証書遺言
加除訂正の方式違背の遺言の効力
証人の立会いが筆記の終了後の公正証書遺言の効力
公正証書遺言の立会証人が視覚障害者
先に書面作成され口授された公正証書遺言の効力
遺言者が公証人の意思確認だけの公正証書遺言
証人の署名押印が遺言者不在の危急時遺言
遺言者の生前の遺言無効確認の訴え
遺言者の死後の遺言無効確認の訴え
遺言無効確認の利益の有無と生前贈与
相続債権者が代位して持分取得登記
農地の贈与者の死亡と知事の許可
相続人のない者から包括遺贈の不動産登記
受遺者から所有権移転登記は遺言執行者
遺贈を原因とする仮登記の抹消登記請求
負担付死因贈与で生前に負担を履行
扶養のための養子縁組で遺贈後の離縁
生前の寄付行為で遺言の寄付行為の取消
金銭の贈与の遺留分算定の貨幣価値
農家の遺産の維持に貢献した寄与分
全財産を贈与した場合と公序良俗違反
遺留分権利者の減殺請求権の意思表示
遺留分減殺請求が権利の濫用
夫婦関係の形骸化での遺留分減殺請求
遺産分割請求は黙示の遺留分請求の意思表示
遺留分減殺請求権と目的物返還請求権の消滅時効
遺留分放棄の申立の許可
相続放棄許可審判の取消申立を却下する審判へ抗告
相続開始後に放棄の取消を認められない
Copyright(C)相続がやって来たらAll Rights Reserved
免責事項
当サイトの情報を利用してトラブル等が発生しましても、管理人は一切責任を負うものではありませんのでよろしくお願いいたします