遺言者の生前の遺言無効確認の訴え

遺言者の生前の遺言無効確認の訴え

相続がやって来たら
スポンサードリンク
相続がやって来たら相続に関する判例>遺言者の生前の遺言無効確認の訴え

遺言者の生前の遺言無効確認の訴え

最高裁昭和31年10月4日判決
民集10巻10号1229頁、判時89号14頁

<事実>

原告(被相続人)Xは昭和26年11月に被告Yに対し本件建物を遺贈する旨の公正証書遺言(遺言甲)を作成したが、昭和27年9月に右遺言甲を取り消す旨の遺言(遺言乙)を作成した。

ところが、Xを扶養していたYが昭和27年7月に本件建物についてXの印鑑を使用して所有権移転登記を行なっていたことが判明したため、XよりYに対し、遺言甲の無効確認と本件建物についての所有権移転登記の抹消手続を求めて提訴した。

Yは本件建物についての贈与契約を主張したが、1審・2審ともXの請求を認め、遺言甲を無効とし、かつ建物についての所有権移転登記の抹消を命じた。

Yは上告した。



<判旨>一部棄却、一部破棄自判

「確認の訴は原則として法律関係の存否を目的とするものに限り許されるのであって、・・・その法律関係についてもただ現在時における存否のみがこの訴の対象として許されるのであって、ある過去の時点におけるその存否、若しくは将来時におけるその成否というようなことは確認の対象とすることは許されない。

・・・本件において、・・・その請求の趣旨は、これを字義通りに理解するならば遺贈なる法律行為の無効なることの確認を求めるものの如くであるが、法律行為は・・・前提事実に外ならないのであって法律関係そのものではない。

・・・かかる事項を確認の訴の対象とすることの許されないことは・・・明瞭であろう。

またその趣旨を本件遺贈による法律効果としての法律関係の不存在の確認を訴求するものと理解しても、なおこの訴は不適法たるを免れない。

元来遺贈は死因行為であり遺言者の死亡によりはじめてその効果を発生するものであって、その生前においては何ら法律関係を発生せしめることはない。

・・・従って一旦遺贈がなされたとしても、遺言者の生存中は受遺者においては何らの権利をも取得しない。

すなわちこの場合受遺者は将来遺贈の目的物たる権利を取得することの期待権すら持っていないのである。

それ故本件確認の訴は現在の法律関係の存否をその対象とするものではなく、将来被上告人が死亡した場合において発生するか否かが問題となり得る本件遺贈に基づく法律関係の不存在の確定を求めるに帰着する。

しかし現在においていまだ発生していない法律関係のある将来時における不成立ないし不存在の確認を求めるというような訴が、訴訟上許されないものであることは前説示のとおり」である。

無料相続メール相談はこちら

Amazonで相続判例を調べる
カテゴリ
共同相続人からの相続回復請求
遺留分減殺請求権の消滅時効
遺産分割終了後の相続人の存在
内縁の夫婦の一方の死亡とその相続人
養子の子の代襲相続
亡相続人の特別受益と代襲相続人の関係
亡相続人の寄与分と代襲相続人
遺言の要件を補充した相続人と欠格事由
非行を繰り返す推定相続人の廃除
遺言による相続人の廃除
離婚訴訟中の夫婦の一方からの廃除
不法行為による慰謝料請求は相続の対象
葬儀費用は葬式主宰者が負担
共同相続人全員の合意の不動産の売却代金
遺産分割前の保管相続財産へ相続分請求
死亡した連帯債務者の数人の相続人
保険金受取人の指定のない保険金
生命保険金受取人が死亡した場合の受取人変更
法定相続人の保険金の取得割合
生命保険金は特別受益の持戻しとならない
賃貸人の賃借相続人への解除の意思表示
家屋賃借人の内縁の妻の居住
扶養料の相続と扶養料の支払命令
共同相続人の一人の不動産の単独登記
相続放棄と登記
遺産分割後の登記を経ない不動産と第三者の対抗
遺贈の不動産の二重譲渡と登記と対抗
代襲相続人の寄与分の主張
家賃収入と遺産を併せて分割できない
一部の相続人の放棄の認定
相続人から不動産の共有持分を譲り受けた第三者
債権者による遺産分割請求権の代位行使
家裁は審判で分割に関する処分をできる
相続の承認放棄の熟慮期間の起算点
相続の承認放棄の熟慮期間の伸長
相続の単純承認の効果が生ずるとき
相続放棄受理前に遺産たる債権の取立て
相続放棄は詐害行為取消権の対象とならない
相続人である後見人が他の相続人の放棄
相続放棄の申述書は自署が原則
相続放棄無効の確認訴訟は不適法
相続放棄に法律上無効原因がある場合
取得時効完成後に相続財産管理人が選任
遺言執行者がある場合でも相続財産管理人が管理
実質上の配偶者と養親子は特別縁故者
被相続人のヒモ的存在の特別縁故性
被相続人の療養看護した看護婦の特別縁故性
傍系親族の特別縁故関係の否定
被相続人の死後の特別の縁故
約20年前の一定期間の縁故で財産分与
共有者の一人が相続人なくして死亡した共有持分
相続開始後25年を経た財産分与申立
不倫相手に遺贈する遺言も有効
特定の遺産を「相続させる」旨の遺言
受遺者が作成した遺言書に遺言者が署名
自筆証書遺言の判定は筆跡の鑑定
英国人作成のタイプライターによる自筆証書遺言
日付について運筆を助けた自筆証書遺言
日付が封筒に記載された自筆証書遺言
帰化した外国人が作成した押印のない自筆証書遺言
加除訂正の方式違背の遺言の効力
証人の立会いが筆記の終了後の公正証書遺言の効力
公正証書遺言の立会証人が視覚障害者
先に書面作成され口授された公正証書遺言の効力
遺言者が公証人の意思確認だけの公正証書遺言
証人の署名押印が遺言者不在の危急時遺言
遺言者の生前の遺言無効確認の訴え
遺言者の死後の遺言無効確認の訴え
遺言無効確認の利益の有無と生前贈与
相続債権者が代位して持分取得登記
農地の贈与者の死亡と知事の許可
相続人のない者から包括遺贈の不動産登記
受遺者から所有権移転登記は遺言執行者
遺贈を原因とする仮登記の抹消登記請求
負担付死因贈与で生前に負担を履行
扶養のための養子縁組で遺贈後の離縁
生前の寄付行為で遺言の寄付行為の取消
金銭の贈与の遺留分算定の貨幣価値
農家の遺産の維持に貢献した寄与分
全財産を贈与した場合と公序良俗違反
遺留分権利者の減殺請求権の意思表示
遺留分減殺請求が権利の濫用
夫婦関係の形骸化での遺留分減殺請求
遺産分割請求は黙示の遺留分請求の意思表示
遺留分減殺請求権と目的物返還請求権の消滅時効
遺留分放棄の申立の許可
相続放棄許可審判の取消申立を却下する審判へ抗告
相続開始後に放棄の取消を認められない
Copyright(C)相続がやって来たらAll Rights Reserved
免責事項
当サイトの情報を利用してトラブル等が発生しましても、管理人は一切責任を負うものではありませんのでよろしくお願いいたします