扶養のための養子縁組で遺贈後の離縁

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相続がやって来たら相続に関する判例>扶養のための養子縁組で遺贈後の離縁

扶養のための養子縁組で遺贈後の離縁

最高裁昭和56年11月13日判決
民集35巻8号1251頁、判時1024号51頁

<事実>

被相続人Aは妻Bとの間に実子がなく、Cとの間に出生したY1のみが唯一の実子であったが、Y1はA夫婦と同居していなかった。

A夫婦は弟Y2やその子Y3と2度にわたり養子縁組をしたがBとの折り合いが悪く結局別居している。

昭和48年にAは、Y1の居住する不動産以外の不動産を全部X1・X2に遺贈することを約束した上で終生老後の世話を託してX1・X2と養子縁組をし、同時に上記と同趣旨の公正証書遺言を作成している。

その後X1・X2はA夫婦と同居し扶養してきたが、昭和49年にX1がAに無断で実兄の債務のためにA所有不動産に担保権を設定したこと等が発覚し、Xらに対する不信の念を強くしたA夫婦は昭和50年8月にXらと協議離縁し別居した。

別居後はY1がA夫婦の世話をしてきたが、昭和52年にA・Bは死亡した。

X1・X2よりAの相続人であるY1ないしY3に対して遺贈に基づく所有権移転登記手続を求めて提訴したが、1・2審とも請求を棄却したためXより上告した。



<判旨>上告棄却

「民法1023条・・・の法意は、遺言者がした生前処分に表示された遺言者の最終意思を重んずるにあることはいうまでもないから、同条2項にいう抵触とは、単に、後の生前処分を実現しようとするときには前の遺言の執行が客観的に不能となるような場合のみにとどまらず、諸般の事情より観察して後の生前処分が前の遺言と両立せしめない趣旨のものとされたことが明らかである場合をも包含するものと解するのが相当である。

そして、原審の適法に確定した・・・事実関係によれば、Aは、Xらから終生扶養を受けることを前提としてXらと養子縁組したうえその所有する不動産の大半をXらに遺贈する旨の本件遺言をしたが、その後Xらに対し不信の念を深くしてXらとの間で協議離縁し、法律上も事実上もXらから扶養を受けないことにしたというのであるから、右協議離縁は前に本件遺言によりされた遺贈と両立せしめない趣旨のもとにされたものというべきであり、したがって、本件遺贈は後の協議離縁と抵触するものとして前示民法の規定により取り消されたものとみなさざるを得ない筋合いである。」

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