相続開始後に放棄の取消を認められない

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相続がやって来たら相続に関する判例>相続開始後に放棄の取消を認められない

相続開始後に放棄の取消を認められない

仙台高裁昭和56年8月10日決定
家月34巻12号41頁

<事実>

母の死亡後、年老いた被相続人Aの4人の子のうちCがAと同居・扶養する約束のもとに他の3人の子が遺留分を放棄し、CにAの所有する全財産を相続させる旨の公正証書遺言がなされていたが、その後事情が変わり、Cは同居をやめ代わりに子X男夫婦が被相続人方へ転居・同居した。

A死亡後、Xは先になされていた遺留分放棄許可審判につき、取消請求をした。

C夫婦が被相続人の死亡に至るまで被相続人と同居して面倒をみることを前提として放棄の申立をなしたものである。

ところが現実は右の前提と異なる結果となっているので、許可審判取消の申立をなしたものである。

原審では、本件放棄の許可は実情に適しなくなったとのXの主張は認めるものの、相続開始後に放棄取消を認めることは、「徒ら権利関係に無用な混乱を生」ぜしめるとの理由から取消を認めず、Xの申立を却下したのでXが即時抗告した。



<判旨>抗告却下

抗告審も、結論において即時抗告を不適法として却下する。

決定の内容は2つに分ける必要がある。

@許可審判取消の可能性を肯定する。

いわく、「家事審判は家庭に関する諸事項を合目的的に処理することを内容とするから、客観的事態の推移によってその審判を存続せしめておくのが不適法と認められるに至った場合には、即時抗告をすることができるなど特別の規定がない審判については非訟事件手続法第19条1項の準用により、(相続の開始後であっても)家庭裁判所はこれを取消または変更することができる・・・。

(本件では)右許可の審判は、・・・これを存続させるべき理由はない・・・」。

Aしかし、事件関係人からの取消の申立は認められない。

(非訟事件手続法19条1項は、裁判所が、そのなした裁判を不当と認めるとき、自らこれを取消又は変更するについての規定であり、事件の関係人にその取消又は変更の申立権を認めたものではないから、Xの本件申立も原(家庭)裁判所に職権の発動を促す以上のものではなく、原審判が右申立を容れなかった以上、Xとしては再度同旨の申立をして職権の発動を促すのはともかく、本件の如き「即時抗告」はもとより、非訟事件手続法20条に基づく抗告もなし得ない」。

B上記の@Aを総合すると、許可審判の取消しは、「裁判所は裁判を為したる後その裁判を不当と認むるときは之を取消し又は変更することを得」(非訟事件手続法19条1項)との規定に基づき、裁判をなした家裁のみがなすことができる、という結論になる。

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