相続放棄許可審判の取消申立を却下する審判へ抗告

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相続放棄許可審判の取消申立を却下する審判へ抗告

東京高裁昭和60年8月14日決定
判夕578号92頁、判時1165号104頁

<事実>

抗告人Xは被相続人Aの相続財産につき遺留分放棄の申立をし、これを許可する審判がなされた。

ところがXは、のちに右許可審判の取消を申し立てた。

その理由は、遺留分の事前放棄の申立はAからXの負債を整理する際の条件として要望されたことに基づきなされたものであるが、すでに審判から6年以上経過し、Aも高齢(64歳)となった。

その間XはAの意思を尊重し、その指示に従ってきており、現在では遺留分の放棄も不要と考えられ、被相続人Aもこれに同意している、などである。

原審は、Xの行状が相変わらず芳しくない、XA間の関係は以前にも増して悪化している、Aは審判取消に強く反対している等を認定して、取消の申立を却下したので、Xが抗告した。



<判旨>抗告却下

「遺留分の放棄の許可に関する家庭裁判所の審判については、民法及び家事審判法上、これを取り消すことができる旨の明文の規定がないから、Xの本件取消の申立は、非訟事件手続法の定めるところに従ってなされたものと解するほかはない・・・。

仮に右申立が同法第19条第1項による裁判の取消又は変更を求める申立であるとすれば、右申立は前記事実に徴し同項の定める要件に該当しないのみならず、右申立を却下した原審の審判に対して、Xは、即時抗告ないし同法第20条の抗告をすることができないものというべきである。

けだし、同法第19条第1項による裁判の取消又は変更は、当該裁判が当初から不当である場合において、これを更正するために、当該裁判をした裁判所が職権でするものであるから、Xが右取消又は変更を求める申立をしたとしても、右申立は、単に裁判所の職権発動を促すものにすぎ(ない)。

・・・本件の遺留分の事前放棄の許可審判のような、継続的法律関係の設定等に関係のない裁判について事情変更による取消に関する法理が適用されるかは疑問があるが、仮にかかる裁判についても、一定の要件に下にこれを取り消すべきことが民法・・・(等)の法理により要請されていると仮定したとしても、家事審判法第14条が、人の身分関係に重大な影響をもつ審判を永く不確定の状態におくことは適当ではないとの法意に基づき、非訟事件手続法第20条の特例として定められた経緯に照らすときは、かかる取消の申立に基づく審判(却下の審判を含む。)に対しては、即時抗告はもちろん、非訟事件手続法第20条の抗告もなしえないものと解するのが相当である」。

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