夫婦関係の形骸化での遺留分減殺請求

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夫婦関係の形骸化での遺留分減殺請求

東京地裁平成4年5月27日判決
金法1353号37頁

<事実>

被相続人Aは、全財産を2分の1ずつの割合で、次女Y1と次男Y2に包括遺贈した。

この遺言に基づいて、Y1とY2は、本件土地建物について相続を原因とする各持分2分の1の所有権移転登記を終えた。

そこで、妻X1と長女X2とは、Y1、Y2を相手として、遺留分減殺等の調停を申し立てたが、Y1、Y2らはこれに応じない。

そこで、本件訴訟(遺留分減殺請求訴訟を)を提起したものである。

これに対するYらの主張は、X1の請求は権利濫用であるとする。

すなわち、X1とAとは44年間にわたり別居状態にあり、その夫婦関係は形骸化し、戸籍上だけの夫婦すぎない状態にあった。

そのような状況のもとで遺留分減殺請求権を行使することは、権利の濫用であり、許されない。

判決では、Yら主張、すなわち長女X2には生前贈与が存するので、X2には遺留分はないとの主張にも、詳細な認定を付して答えている。

その部分はテーマから遠ざかるので、すべて割愛し、遺留分減殺請求と権利濫用の問題に限定していえば、妻X1の遺留分減殺請求を認めた。



<判旨>

@「遺留分認められる趣旨は、一定の法定相続人に対して、被相続人の意思にかかわらず、一定割合の相続分を確保するという点に存し、被相続人が当該相続人に遺産を相続させない旨の遺言をしても奪うことのできない権利であり、多くの場合、被相続人との関係が悪化し又は形骸化し、被相続人が当該推定相続人に相続させたくないという際に遺留分減殺請求権が問題となること、被相続人が遺留分を失わせるためには、生前又は遺言により遺留分を有する推定相続人の廃除を請求し、家庭裁判所の審判を経ることが必要である。

A上記@の「ことなどを併せ考えると、遺留分減殺請求権の行使が権利の濫用となるためには、ただ単に身分関係が形骸化し、その実体を失っているというのみでなく、積極的に廃除請求をしていれば認められたであろうと考えられる事情あるいはそれに相当する重大な事由が存在し、その行使が信義に反すると認められることが必要であると解すべきである。

けだし、そのように解さなければ、一方で遺留分制度により一定の推定相続人を保護し、他方において廃除制度により被相続人の処分の自由を確保し、両者の利害を調整している現行法の趣旨に反することになるからである。」

B「被相続人であるAとX1とは、昭和19年以降再び同居することなく経過していたことは認められるものの、別居の契機となったものは戦時下での疎開であり、その後再び同居するに至らなかった主たる理由は、Aは愛人関係にあるB女と同居していたことにあると考えられ、また、別居期間中もAはX1らの生活費を支弁しており、二人の関係が完全に形骸化していたとは認められないのみならず、廃除事由に該当するような事情はうかがえないのであり、そうだとすると、本件においてX1が遺留分減殺請求をすることが信義に反し、権利の濫用になるということはできない。」

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