カーボン複写による遺言と自書

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相続がやって来たら相続に関する判例2>カーボン複写による遺言と自書

カーボン複写による遺言と自書

最判平成5・10・19家月46巻4号27頁

<事実>

被相続人の死亡により、被相続人と先妻との間の子Xと、後妻やその子Yらが相続人となった。

本件遺言は、その全文がカーボン紙により複写された遺言である(複写遺言のみが残存する)。

Xが遺言の無効を訴求したのが本件である。

上告理由の中では、偽造遺言であるとの主張も詳しくなされているが、主題との関係では、カーボン複写遺言が自書の要件を満たしているかどうかが争点である。

控訴審段階での控訴人の無効主張によれば、「カーボン紙による複写では、真筆ないしコピーのような手本となるものをなぞれば、容易に真筆と配字構成、字画構成、運筆が同一の筆跡を顕出することができるばかりか、筆記具によって直接書いた時には明確になる筆圧、筆勢が不明になってしまうため、後で真正な筆跡であるかを判別することは極めて困難となる」と主張したが、原審は、「カーボン紙を用いることも自署の1つの手段方法と認められるといべきであり」、筆跡鑑定により、控訴人がいうような偽造の危険は排除できると判断した。

Xは上告した。

<争点>複写された文書しか残っていない場合でも、「自書」といえるか。



<判旨>上告棄却

「本件遺言書は、(遺言者)が遺言の全文、日付及び氏名をカーボン紙を用いて複写の方法で記載したものであるというのであるが、カーボン紙を用いることも自書の方法として許されないものではないから、本件遺言書は、民法968条1項の自書の要件に欠けるところはない。

これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない」と述べて、遺言を有効と扱った。

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