痴呆高齢者の遺言能力

痴呆高齢者の遺言能力

相続がやって来たら
スポンサードリンク
相続がやって来たら相続に関する判例2>痴呆高齢者の遺言能力

痴呆高齢者の遺言能力

和歌山地判平成6・1・21判夕860号259頁

<事実>

A(明治45年生まれ)は、昭和52年に、自分の経営する2軒の旅館のうち1軒(本件土地建物)を長女Xに相続させる旨を遺言した。

その後Aは糖尿病などを患い、62年12月には脳動脈硬化症が発現し、63年2月頃からは脳梗塞、意識障害の症状も見られた。

52年遺言の存在を知ったAの長男Yは、63年6月8日にAを入院先の病院から連れ出し、本件土地建物を含む全財産をYに相続させる旨の公正証書遺言(先行遺言)を作成させた。

Xから元に戻すよう頼まれたAは、同年7月7日に入院先から徒歩で本件建物に赴き、本件土地建物をXに譲る旨を公証人に口授し、本件公正証書遺言を作成した。

Xは、Aの死後にYが行った本件土地建物の相続登記の抹消を請求した。

Yは、本件遺言当時Aには意思能力がなかったとして、その無効を主張した。

<争点>本件のような症状を呈する遺言者Aに、遺言能力を認めることができるか。



<判旨>請求認容

Aは、昭和63年3月頃からたまに痴呆症状を呈することが家人に分かるようになり、7月頃から痴呆症状、健忘、記銘力低下、失見当症状などが医師にも確認され、これらの症状は8月末にはやや悪化して終日介護を必要とする身体状態になったが、普段は意識清明であることが多く、本件遺言当時(63年7月)Aの意識は清明で、公証人の人定質問にも的確に答えており、当日体調が特に悪いこともなかったのであるから、Aが本件遺言時に事理を弁識する能力に欠けることがなかったのは明らかである。

52年遺言の存在、Aの日頃の言動からすると、先行遺言こそAの真意であったか疑わしく、先行遺言のうち、本件遺言と抵触する部分は本件遺言で撤回したものとみなされる(民法1023条1項)。

無料相続メール相談はこちら

Amazonで相続判例を調べる
カテゴリ
売買無効確認並びに所有権取得登記抹消手続請求事件
遺言無効確認請求事件
遺産分割前の相続人による相続建物の利用関係
婚外子相続分差別の合憲性
相続人の廃除
共同相続人間における相続回復請求
民法884条の20年の期間の性質と起算点
表見相続人からの譲受人と相続回復請求権
相続財産共有の性質
遺産分割か共有分割か
生命保険金の相続財産性
死亡退職金の相続財産性
可分債権・債務の相続
他人物売買と相続
無権代理と相続
遺産分割前の現金の相続
ゴルフ会員権の相続性
公営住宅使用権の相続性
相続させる旨の遺言の効力
祭祀財産の承継
特別受益財産であることの確認を求める訴え
遺産分割の前提問題と遺産分割審判
遺産分割後の非嫡出子の分割請求
遺産分割協議と要素の錯誤
遺産分割協議と民法541条による解除
共同相続と登記
遺産分割と登記
相続放棄と登記
遺贈と登記
指定相続分と登記
民法915条の熟慮期間の起算点
相続財産の処分と法定単純承認
限定承認と相続によって得た財産
相続放棄と詐害行為取消権
包括受遺者がいる場合と民法951条
共有持分の特別縁故者へ分与
相続財産の国庫帰属の時期
カーボン複写による遺言と自書
自筆証書遺言の日付が吉日
自筆証書遺言で氏を欠いた場合
自筆証書遺言に拇印を押した場合
他人の添え手による遺言の効力
数葉にわたる遺言書の効力
自筆証書における誤記の訂正
公正証書における遺言者の口授
危急時遺言の方式
視力障害者の証人適格
共同遺言の禁止
痴呆高齢者の遺言能力
遺言者生存中の遺言無効確認の訴え
遺言の後継ぎ遺贈
特定遺贈の効力
不倫関係にある女性への包括遺贈の効力
遺言執行者の法的地位と権限
遺言執行者がある場合における相続財産処分
特定不動産を相続させる旨の遺言と遺言執行者の登記手続義務
遺言と抵触する生前処分
負担付死因贈与と抵触する遺言
遺言の撤回と当初の遺言の復活
特別受益が金銭の場合の遺留分の算定
遺留分算定の基礎となる財産額
遺留分減殺請求権の性質
遺留分減殺請求と民法177条
価額弁償
遺留分減殺請求権の消滅時効
包括遺贈の減殺と遺留分権利者に帰属する権利の性質
Copyright(C)相続がやって来たらAll Rights Reserved
免責事項
当サイトの情報を利用してトラブル等が発生しましても、管理人は一切責任を負うものではありませんのでよろしくお願いいたします