他人の添え手による遺言の効力

他人の添え手による遺言の効力

相続がやって来たら
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相続がやって来たら相続に関する判例2>他人の添え手による遺言の効力

他人の添え手による遺言の効力

最判昭和62・10・8民集41巻7号1471頁

<事実>

被相続人の自筆証書遺言によれば、その遺産の大部分をYら(三男とその長女)にあたえるというものであった。

Xら(被相続人の子)は遺言の無効を主張する。

遺言者は病気(老人性白内障による視力衰えと、脳動脈硬化症の後遺症による手の震え)のため、ひとりでは満足な字も書くことができないという状態にあった。

そのため本件遺言の作成に際して、被相続人の妻Aが、遺言者の背後からマジックペンをもつ遺言者の手の甲を上からかぶせるようにして添え手して、遺言者が発する一字一字を2人が手を動かして本件遺言を作成した。

そこでXらは、遺言の偽造を理由に遺言無効の確認請求をした。

原審は遺言を無効とし、Xらの請求を認容した。

遺言が「自書」とはいえないことを主な理由とする。

すなわち、遺言に記された文字の体裁、書体、筆跡は、遺言者の筆記能力を前提とすれば、妻Aが遺言者の手の震えを止めるため手の甲を握って支えをしただけでは、とうてい本件のような字を書くことはできず、遺言者も手を動かしたにせよ、A女の主導により作成されたと判断したのである。

そこでYらが上告した。

<争点>自書といえるためには、添え手をした者が補助的役割をしたにとどまることが必要である。本件の事実がこれに当るか。



<判旨>上告棄却

添え手は遺言者が他人から単に筆記を容易にするために支えを借りただけといえる程度の態様にとどまり、「添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが、筆跡の上で判定できる場合には「自書」の要件をみたす」といえるが、原審認定のような字体(一部には草書風の達筆な字もみられ、また22行にわたって整然と記述)から判断すると、妻Aが「遺言者の声を聞きつつこれに従って積極的に手を誘導し、A女の整然と字を書こうとする意思に基づき」遺言が作成されているから遺言は無効である。

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