自筆証書遺言に拇印を押した場合

自筆証書遺言に拇印を押した場合

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相続がやって来たら相続に関する判例2>自筆証書遺言に拇印を押した場合

自筆証書遺言に拇印を押した場合

最判平成1・2・16民集43巻2号45頁

<事実>

遺言者A(訴訟当事者らの母)の遺言によれば、生前同居していた五女Y1に全財産を遺贈すると記されていた。

このような遺言につき、Aの次男であるXは、遺言の無効、すなわち@本件遺言を作成した当時A女は遺言能力を欠いていたから、本件遺言は偽造遺言である、A仮に遺言能力を有していたとしても、拇印しか押捺されていないから無効である、と主張した。

1・2審とも遺言有効と帰結する。

押印の趣旨は、遺言者の同一性の確保と遺言者の意思に基づく遺言であることを担保するものであるが、押印でもこの趣旨は損われることはない。

Xは上告した。

<争点>拇印を「押印」と同視できるか。



<判旨>上告棄却

「押印を要する趣旨は、遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにある・・・我が国の慣行ないし法意義に照らすと」、指印もそのような文書の完成を担保する機能において欠けるところがない。

また、指印は遺言者の死亡後には遺言者本人の指印であるか否かが争いになった場合に、これを確認することが困難であるとの点についても、印章による押印の場合も、同様の問題の生ずることがあり、「対象すべき印章のないことは前記解釈の妨げとなるものではない」。

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